2020年7月1日、韓国・文化体育観光部が、創作や利用に関する環境の変化を反映するため2006年以来15回改正し複雑となった法体系を正すため、14年ぶりに著作権法の全面改正を推進すると発表しました。
同部では、2月4日の「著作権ビジョン2030」発表時に、著作権法の全面改正を推進することを明らかにし、この間、専門家と韓国著作権委員会から構成された「著作権法全面改正研究班」において改正案を議論してきており、今後、今年末までをかけて、法律・コンテンツ産業といった分野の専門家や創作者・著作権管理団体・著作物利用事業者といった利害関係者からの意見聴取を経て改正案を確定するとしています。
プレスリリースでは、オンラインでの音楽サービスや動映像サービス(OTT)の拡大をうけた拡大集中許諾制度の導入、著作権侵害紛争時の刑事罰よりも民事的な解決への誘導、創作者が著作権を譲渡した後に契約の変更や追加の補償を請求できる追加報酬請求権の制限付きでの導入、創作者の権益と法人の円滑な著作物利用の均衡を目的とする職務著作に関する条項の改善、パブリシティ権の導入、データマイニングのための著作物利用における著作権免責規定の導入、インターネット上でのリアルタイムでの映像送信(デジタル送信)の著作権法上での概念の明確化、授業目的公衆送信補償金制度を計画していると説明されています。
창작자 권리보호는 강하게, 저작물 이용은 손쉽게(著作者の権利保護を強くし、著作物利用を容易に)(韓国・文化体育観光部,2020/7/1)
https://www.mcst.go.kr/kor/s_notice/press/pressView.jsp?pSeq=18112
参考:
E393 – 韓国の著作権法改正の動向
カレントアウェアネス-E No.68 2005.10.19
https://current.ndl.go.jp/e393
E970 – 韓国で2回にわたる著作権法改正
カレントアウェアネス-E No.157 2009.09.02
https://current.ndl.go.jp/e970
韓国、著作権法改正により保護期間が著作権者の死後50年から70年に延長へ
Posted 2011年6月24日
https://current.ndl.go.jp/node/18500
文化庁、米、英、豪、仏、独、韓、中7か国を対象に調査した「海外における著作権制度及び関連政策動向等に関する調査研究報告書」を公開
Posted 2016年9月9日
https://current.ndl.go.jp/node/32509
E2075 – IFLAの拡大集中許諾制度(ECL)に関する報告書
カレントアウェアネス-E No.357 2018.11.08
https://current.ndl.go.jp/e2075
CA1972 – EU新著作権指令にみるデジタル時代の「図書館」像 ―デジタルコンテンツの供給源としての図書館 / 松澤邦典
カレントアウェアネス No.343 2020年3月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1972
デジタル化・ネットワーク化の進展や障害者の情報アクセス機会の拡充等に対応した改正著作権法が成立
Posted 2018年5月23日
https://current.ndl.go.jp/node/36038