2020年6月5日付で刊行された情報リテラシーに関するオープンアクセスの国際的査読誌“Journal of Information Literacy”の第14巻第1号に、ウェールズ・カーディフ大学のサブジェクトライブラリアンであるモリス(Delyth Morris)氏の執筆した、高等教育機関における情報リテラシー教育プログラムの文献レビューを内容とする論文が掲載されています。
同氏の論文は、学習成果を中心に対面形式・オンライン形式の効果を論じた2017年発表の同大学の研究を土台としこれを発展させた内容です。情報リテラシー教育において学生が特定の実施形式を好む傾向があるかどうか確認することを目的に、対面形式・オンライン形式・両者の混合形式の学生への影響について焦点を当てた研究を行っています。
著者は、図書館情報学の文献データベースLibrary, Information Science and Technology Abstracts(LISTA)、英国を中心とした教育文献のデータベースBritish Education Index、米国教育省管理の教育学分野の書誌データベースERIC、Elsevier社の抄録・引用文献データベースScopusを用いた包括的体系的な文献検索を実施して、2017年の研究における議論の更新につながる7件の文献を新たに特定し、論文ではこの7件の文献への批判的評価が行われています。
論文では7件の文献の批判的評価等を通して、先行する2017年の研究と同様に、情報リテラシー教育において、実施形式の学生の学習成果や好みに与える影響は同等である、と結論づけています。
Morris, Delyth. A review of information literacy programmes in higher education. Journal of Information Literacy. 2020, 14(1), p. 19-40.
https://doi.org/10.11645/14.1.2668
関連:
Weightman, Alison Lesley et al. A Systematic Review of Information Literacy Programs in Higher Education: Effects of Face-to-Face, Online, and Blended Formats on Student Skills and Views. Evidence Based Library and Information Practice. 2017, 12(3), p. 225-235.
https://doi.org/10.18438/B86W90
参考:
CA1703 – 研究文献レビュー:情報リテラシー教育:図書館・図書館情報学を取り巻く研究動向 / 野末俊比古
カレントアウェアネス No.302 2009年12月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1703