2020年3月に刊行された、米国の大学・研究図書館協会(ACRL)の“College and Research Libraries (C&RL)”のVol.81, no.2に、米国インディアナ大学高等教育研究センター所属の研究者であるKevin Fosnacht氏による論文“Information Literacy’s Influence on Undergraduates’ Learning and Development: Results from a Large Multi-institutional Study”が掲載されています。
Fosnacht氏は、インディアナ大学による米国の大学生の学習実態等を調査するプロジェクト“National Survey of Student Engagement(NSSE)”が学習支援担当の図書館員とともに開発した、情報リテラシー能力評価のためのモジュール“Experiences with Information Literacy”について、その信頼性と妥当性を調査した研究を行い、その結果に基づいて論文を執筆しました。“Experiences with Information Literacy”は米国の208機関で使用されているモジュールであり、同研究では米国208大学の1年生または4年生の約14万5,000人のモジュール由来のデータを利用しています。
研究では探索的因子分析を用いて、情報の利用・情報の評価・講師による強調がモジュールに含まれる情報リテラシーと関連した3要素であることを特定し、これらの要因と大学生の高次学習活動、内省的・統合的学習活動への取り組みや関与状況、及び学生の認識する能力向上度との関係を調査しています。
論文では、分析の結果として情報リテラシーに関わる活動と大学生の学習活動への関与状況・学生の認識する能力向上度との間には、統計的に有意な正の相関関係がある、と指摘しています。
Fosnacht, Kevin. Information Literacy’s Influence on Undergraduates’ Learning and Development: Results from a Large Multi-institutional Study. College & Research Libraries, 81(2), 2020, p. 272-287.
https://doi.org/10.5860/crl.81.2.272
関連:
Topical Module: Experiences with Information Literacy [PDF:687KB](NSSE)
https://nsse.indiana.edu/pdf/modules/2020/NSSE_2020_Experiences_with_Information_Literacy_Module.pdf
参考:
E1124 – 米国大学生の情報リテラシーの現状と教員・図書館員等への提言
カレントアウェアネス-E No.184 2010.12.02
http://current.ndl.go.jp/e1124
CA1966 – 動向レビュー:フェイクニュースと図書館の関わり:米国における動向 / 鎌田 均
カレントアウェアネス No.342 2019年12月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1966
プロジェクト・インフォメーションリテラシー、大手IT企業の使用するアルゴリズムが支配的な時代の情報リテラシーと大学生に関する報告書を公開(米国)
Posted 2020年1月22日
https://current.ndl.go.jp/node/40025