2020年刊行の“Data Science Journal”誌の19巻に、実践報告(Practice Papers)として“Developing a Research Data Policy Framework for All Journals and Publishers”が掲載されています。
この報告は、オープンアクセス(OA)出版社・PLOSのIain Hrynaszkiewicz氏をはじめとする5人の著者により、研究データ同盟(RDA)の「研究データポリシーの標準化・実装(Data policy standardisation and implementation)」に関するInterest Group(IG)の成果物として作成されました。
多数のジャーナル・出版社・助成機関・研究機関等で研究データポリシーの導入が進められていますが、こうしたポリシーの普及が進むにつれて各ポリシーが求める要件に多数の矛盾が発生し、研究者や研究支援スタッフを混乱させる可能性があることが報告作成の背景として説明されています。著者らは、ジャーナルや出版社が優れた実践を奨励しつつ、認められたニーズに対して適切な形で研究データの共有を促進できるように、ジャーナルの研究データポリシーの14の特徴の定義を行い、これらの特徴に基づいて研究データポリシーの標準を6種類に分類しています。
著者らが定義した研究データポリシーの14の特徴には、データの引用・データリポジトリ・データの利用可能性に対する言及・データ標準と形式・データに対するピアレビューなどが含まれています。著者らの設定した特徴と分類は、合計すると1万タイトル以上のジャーナルを出版する複数の学術出版社の研究データポリシーへのレビューや利害関係者との議論等を通して作成されました。
公表された報告の中では、研究成果物の著者向け情報提供や出版ワークフロー上で実践できる付属資料のテンプレート文書とともに、ジャーナル・出版社が標準的な研究データポリシーを実装するためのガイドラインも提供されています。
Hrynaszkiewicz, I.; Simons, N.; Hussain, A.; Grant, R.; Goudie, S. Developing a Research Data Policy Framework for All Journals and Publishers. Data Science Journal. 2020, 19.
http://doi.org/10.5334/dsj-2020-005
Policy feature standard texts for policy template construction
https://doi.org/10.5334/dsj-2020-005.s1
参考:
E2233 – リーフレット「研究データにDOIを付与するには?」の製作
カレントアウェアネス-E No.386 2020.02.27
https://current.ndl.go.jp/e2233
E2234 – 「データ引用原則の共同宣言」:データ引用を学術界の慣習に
カレントアウェアネス-E No.386 2020.02.27
https://current.ndl.go.jp/e2234
研究型大学ネットワーク9団体が「研究データの権利に関するソルボンヌ宣言」に署名
Posted 2020年2月5日
https://current.ndl.go.jp/node/40166
CA1818 – 研究データ共有時代における図書館の新たな役割:研究データマネジメントとデータキュレーション / 池内有為
カレントアウェアネス No.319 2014年3月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1818