米・Ithaka S+R、アンケートに基づいて新型コロナウイルス感染症拡大に伴う米国の学術図書館の暫定的な対応状況を報告

米・Ithaka S+Rは2020年3月15日付で、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う米国の学術図書館の暫定的な対応状況を報告した記事“Academic Library Strategies Shift to Closure and Restriction”を公開しました。

Ithaka S+Rは2020年3月11日の午後8時(米国東部標準時)から、米国の学術図書館向けに新型コロナウイルス感染症への対応に関するオンラインアンケートを実施し、3月13日にアンケート開始から24時間経過時点の213件の回答に基づく対応状況を報告した記事を投稿しました。今回公開された記事はその後の48時間の間に収集された194件の回答の内容が含まれており、開始24時間時点で収集された回答と比較しながら米国の学術図書館の対応状況を報告しています。

Ithaka S+Rは、最新の回答では24時間時点の回答と比較して、休館・開館時間短縮・来館制限・サービス制限・リモートワークの拡大等を実施する学術図書館の数が顕著に増加していることを指摘し、平常通りのサービス提供を行う館はもはや少数派であることを報告しています。その他、米国の学術機関・学術図書館の主な対応状況として以下のことを報告しています。

・遠隔・オンラインで授業を実施する機関の数は、24時間時点の回答では全体の58%であったが、最新の回答では全体の82%へと急激に増加している
・最新の回答によると全体の約4分の3の図書館が、少なくとも開館時間の短縮は実施しており、8%は完全な休館を実施している
・印刷体資料への提供を完全に停止していると回答した館が最新の回答では7%存在し状況を注視している
・レファレンスサービスや図書館の利用案内は、対面での実施から遠隔での実施へと移行しつつある
・感染症への予防・リスク軽減対策として、約3分の2の図書館が館内のスタッフに安全対策に関する最新情報やガイドラインを定期的に伝えることを挙げている
・リモートワークを許可する図書館の割合は最初の24時間時点の回答の63%から最新の回答では68%へ増加し、これらの図書館では少なくとも一部のスタッフに対してリモートワークを認めているが、リモートワークを義務付けている図書館はわずか2%に留まっている

Academic Library Strategies Shift to Closure and Restriction(Ithaka S+R,2020/3/15)
https://sr.ithaka.org/blog/academic-library-strategies-shift-to-closure-and-restriction/

Academic Library Response to COVID19(Ithaka S+R)
https://surveys.ithaka.org/jfe/form/SV_8qN8F2274hMBBBz

関連:
Academic Library Response to COVID19(Ithaka S+R,2020/3/13)
https://sr.ithaka.org/blog/academic-library-response-to-covid19/

参考:
米国議会図書館(LC)、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため休館
Posted 2020年3月13日
https://current.ndl.go.jp/node/40480

米国図書館協会(ALA)、新型コロナウイルス感染症に関する声明を発表
Posted 2020年3月16日
https://current.ndl.go.jp/node/40496

米国図書館協会(ALA)の理事会、新型コロナウイルス感染症の感染拡大をうけ、図書館の閉鎖を勧告
Posted 2020年3月18日
https://current.ndl.go.jp/node/40526