2020年5月18日、科学技術・学術政策研究所(NISTEP)は、調査資料「研究データ公開と論文のオープンアクセスに関する実態調査2018」を公表しました。
日本の研究者によるデータ公開を中心としたオープンサイエンスの実態や課題を把握するため、2018年10月から11月にかけて、科学技術専門家を対象に実施したウェブ質問紙調査の結果に基づくものです。1,516人(回答率69.1%)の回答を分析し、2016年に実施した実態調査の結果と比較することにより、政策立案や研究マネジメントに資することを目指しています。主な調査結果として、調査資料の「要旨」では以下のような内容が紹介されています。
・回答者の51.8%がデータ公開、78.0%が論文のインターネット公開の経験があった。2016 年の調査結果と比較すると、全体としてはデータの公開が進んでいないが、分野による差が見られる。
・助成機関等が要求しているデータマネジメントプラン(DMP)の作成経験を持つ回答者は18.7%に留まった。
・データを公開する場合の懸念について、回答者の84.2%が引用せずに利用される可能性、75.9%がデータの所有権・契約、69.1%が先に論文を出版される可能性を「問題」または「やや問題」であると認識している。
・データ公開に要する資源について、回答者の84.6%は人材、80.3%は時間、78.7%は資金が「不足」または「やや不足」していると認識している。
研究データ公開と論文のオープンアクセスに関する実態調査2018[調査資料-289]の公表について(NISTEP, 2020/5/18)
https://www.nistep.go.jp/archives/44300
研究データ公開と論文のオープンアクセスに関する実態調査2018
http://hdl.handle.net/11035/00006635
参考:
科学技術・学術政策研究所(NISTEP)、研究データ公開と論文のオープンアクセスに関する実態調査の結果を公表
Posted 2017年12月15日
https://current.ndl.go.jp/node/35171
Springer Nature社、日本の研究者を対象にデータ共有・管理の現状を調査したホワイトペーパーを公開
Posted 2019年6月6日
https://current.ndl.go.jp/node/38303
E2233 – リーフレット「研究データにDOIを付与するには?」の製作
カレントアウェアネス-E No.386 2020.02.27
https://current.ndl.go.jp/e2233
E2234 – 「データ引用原則の共同宣言」:データ引用を学術界の慣習に
カレントアウェアネス-E No.386 2020.02.27
https://current.ndl.go.jp/e2234
E2250 – 研究データの公開・利用条件指定ガイドラインの策定
カレントアウェアネス-E No.389 2020.04.23
https://current.ndl.go.jp/e2250
CA1818 – 研究データ共有時代における図書館の新たな役割:研究データマネジメントとデータキュレーション / 池内有為
カレントアウェアネス No.319 2014年3月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1818