Springer Nature社、日本の研究者を対象にデータ共有・管理の現状を調査したホワイトペーパーを公開

2019年5月23日、Springer Nature社は、日本におけるデータ共有・管理の現状を調査したホワイトペーパー“Challenges and Opportunities for Data Sharing in Japan”の公開を発表しました。

2018年に、1,000人を超える日本の研究者を対象として行った調査に基づくものであり、データ共有、データ管理計画(DMP)、助成機関が定める要件の認知度についての調査結果をまとめています。また、同社が2018年に東京で行った日本のオープンサイエンスの現状に関するラウンドテーブル・ディスカッションの要約、未診断疾患イニシアチブ(IRUD)と研究データ共有についての日本医療研究開発機構(AMED)へのインタビュー内容も収録されています。

本文では以下の点などが指摘されています。

(データ共有について)
・95%の回答者はデータを共有したことがあり、そのうち、公的及び私的に共有したことがあるのは62%、私的にのみ共有したことがあるのは36%、公的にのみ共有したことがあるのは2%であること
・私的な共有方法としてはメールやUSB、ファイル共有サービスが広く用いられているが、データ保存の面で懸念があること
・公的な共有方法では、雑誌論文への補足情報として共有されることが多いが、データリポジトリでの共有と比べると、使いやすさや発見可能性の点で劣ること
・データ共有を行う上での懸念点として、データの誤った利用(49%)、著作権・ライセンスの問題(42%)、センシティブな情報の存在(35%)が挙げられたこと

(DMPについて)
・回答者の56%がDMPの作成経験があること
・DMPの作成経験がない回答者のうち、46%はこれまでDMPについて聞いたことがない、45%は助成機関や研究機関からDMPの作成を求められたことがないと回答していること

(助成機関が定める要件の認知度について)
・回答者自身の主要な助成機関が定める要件に関し、その要件がDMPと関連していることについては回答者の34%が、データ共有と関連していることについては23%が知らないと回答していること

Moving towards open science needs extensive collaboration and best practice data sharing in Japan(Springer Nature, 2019/5/23)
https://group.springernature.com/gp/group/media/press-releases/moving-towards-open-science-japan/16743960

Challenges and Opportunities for Data Sharing in Japan
https://doi.org/10.6084/m9.figshare.7999451.v1

参考:
Springer Nature社、研究者を対象に実施した研究データ共有に関する調査の報告書を公開
Posted 2018年3月27日
http://current.ndl.go.jp/node/35724

figshare、研究データの公開に関する年次調査報告書“The State of Open Data Report 2018”を公開
Posted 2018年11月5日
http://current.ndl.go.jp/node/36971

E1926 – JSTオープンサイエンス方針の策定について
カレントアウェアネス-E No.327 2017.06.22
http://current.ndl.go.jp/e1926