台湾で公共貸与権の試行導入が開始

台湾の教育部及び文化部は、2019年12月31日に開催した記者発表の場で、国立公共資訊図書館及び国立台湾図書館において公共貸与権を試行導入することを発表しました。試行期間は2020年1月1日から2022年12月31日までの3年間となっています。

公共貸与権とは、図書館での資料貸出しに対する補償を著者及び出版者に行う制度です。欧州を中心に複数の国家で導入されていますが、東アジアにおける試行導入は初となります。

公共貸与権の適用対象となるのは、本国人、あるいは台湾の法令に依って登記された法人・民間団体が台湾の「国家言語」又は外国語で創作し、かつ台湾で出版されたISBN付きの紙の書籍です。1冊の貸出しにつき、3ニュー台湾ドル(2020年1月6日現在では日本円約11円に相当)の補償が行われ、著者70%、出版者30%の割合で分配されます。

試行段階では、両館における年間貸出し分を計算基準とし、翌年2月に著者及び出版者からの登録受付けを開始、5月に補償金の支払いを行うというスケジュールとなっています。

國立公共圖書館109年起試辦「公共出借權」(教育部, 2019/12/31)
https://www.edu.tw/News_Content.aspx?n=9E7AC85F1954DDA8&sms=169B8E91BB75571F&s=89AFF7F347DC425E

國立公共圖書館試辦「公共出借權」計畫(教育部, 2019/12/31)
https://www.edu.tw/News_Content.aspx?n=4F8ED5441E33EA7B&s=F90C95DCDB7FFF69

本を貸し出すごとに作者らに補償金、台湾が公共貸与権を東アジアで初めて導入(TAIWAN TODAY, 2020/1/2)
https://jp.taiwantoday.tw/news.php?unit=148,149,150,151,152&post=168756

参考:
台湾・文化部が進める読書・出版に関する5つの事業(記事紹介)
Posted 2019年9月25日
https://current.ndl.go.jp/node/39102

英国、2018年7月1日から公共貸与権の対象を電子書籍・オーディオブックに拡大
Posted 2018年6月12日
https://current.ndl.go.jp/node/36144

CA1579 – 動向レビュー:公共貸与権をめぐる国際動向 / 南亮一
カレントアウェアネス No.286 2005.12.20
http://current.ndl.go.jp/ca1579

CA1754 – 動向レビュー:英国における公貸権制度の最新動向―「デジタル経済法2010」との関連で / カオリ・リチャーズ
カレントアウェアネス No.309 2011年9月20日
http://current.ndl.go.jp/ca1754