英国出版協会(The Publishers Association)と英国図書館長協会(Society of Chief Librarians:SCL)が2014年3月から、1年間の計画で電子書籍の貸出に関するパイロットプロジェクトを行っています。開始後半年を経過し、2014年11月24日に、英国出版協会がその状況を報告しています。
このプロジェクトは、公共図書館の電子書籍貸出に関するジークハルト・レビューにもとづき、電子書籍の貸出しの影響を測定するもので、図書館と出版者で、以下の4点について合意し、試行が行われているとのことです。
・無料で貸出を行うこと。
・図書館利用者は遠隔で電子書籍を利用できること。
・1度に1つの電子書籍にアクセスできる利用者は1名であること。
・劣化の問題を検討するため、物理的な紙の本と同様の期限を設けること。
半年間の試行の結果からは、以下の点が明らかになったとされています。
・ニューキャッスル市議会等、試行に参加した4つの図書館関係機関では、すべて、電子書籍の貸出しが大幅に増加し、電子書籍全体の中で試行のプロジェクトのタイトルが占める割合も高かった。
・貸出期間を長く設定すれば、より多くのタイトルが貸し出され、予約リストに登録する利用者の数も増加する。
・図書館の貸出しインタフェースに購入を案内するプログラム“click to purchase”の利用率はとても低い。
・プログラムに参加した図書館では、来館及び物理的な本の貸出しの減少はみられなかった。
Public Library e-Lending Pilot Six Month Update Print(The Publishers Association, 2014/11/24)
http://www.publishers.org.uk/index.php?option=com_content&view=article&id=2823
参考:
図書館で電子書籍を貸し出すと購入につながる?(英国)
Posted 2014年4月15日
http://current.ndl.go.jp/node/25937
英政府、公共図書館の電子書籍貸出に関するジークハルト・レビューおよび対する政府回答を公表
Posted 2013年3月29日
http://current.ndl.go.jp/node/23210
PLA、英国の公共貸与権の拡張について周知
Posted 2014年8月14日
http://current.ndl.go.jp/node/26805
E1534 – 公共図書館で学術文献を:英国の試み“Access to Research”
カレントアウェアネス-E No.254 2014.02.20
http://current.ndl.go.jp/e1534