2024年5月14日、英国物理学会出版局(IOP Publishing)が、査読に関する調査報告書“State of peer review 2024”を公開しました。
IOP Publishingでは2020年にも査読に関する調査を行っており、今回の調査では2020年調査時の回答と2024年調査時の回答を比較することで、何が変わったかを確認し、生成AI、査読における偏見、ダブルブラインド査読などのトピックに関する物理科学コミュニティの意見を評価することを目標としたとあります。
2024年3月にアンケート調査が実施され、世界各国の計3,046人から回答が得られました。主な調査結果として、以下のようなものが挙げられています。
・査読プロセスで偏見を経験したと報告した回答者の割合は、2020年以降減少している(2020年調査では24%、2024年調査では16%)。
・査読依頼を承諾する最大の動機は、2020年と同様に査読する論文への関心であった。
・生成AIが査読に与える影響についての見解は二極化している。
IOP Publishing report reveals peer review capacity not used to its full potential (IOP Publishing, 2024/5/14)
https://ioppublishing.org/news/iop-publishing-report-reveals-peer-review-capacity-not-used-to-its-full-potential/
State of peer review 2024(IOP Publishing)
https://ioppublishing.org/state-of-peer-review-2024/
Peer Review Survey Insights 2020 (IOP Publishing)
https://ioppublishing.org/peer-review-survey-insights/
※2020年の調査結果です。
参考:
英国物理学会出版局(IOP Publishing)、世界各国の1,200人以上の研究者を対象とした査読に関する意識調査の結果を公開 [2020年09月04日]
https://current.ndl.go.jp/car/41925
査読登録サービスPublons、査読に関する現状調査報告書を公開 [2018年09月12日]
https://current.ndl.go.jp/car/36648
Wiley社、論文の査読に関するオンライン調査の結果を報告書として発表 [2016年01月22日]
https://current.ndl.go.jp/car/30505
CA2048 – 動向レビュー:査読は無償であるべきか? / 佐藤 翔
カレントアウェアネス No.357 2023年9月20日
https://current.ndl.go.jp/ca2048
CA1829 – 査読をめぐる新たな問題 / 佐藤 翔
カレントアウェアネス No.321 2014年9月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1829