英国物理学会出版局(IOP Publishing)、世界各国の1,200人以上の研究者を対象とした査読に関する意識調査の結果を公開

2020年8月27日、英国物理学会出版局(IOP Publishing)は、世界各国の1,200人以上の研究者を対象に実施した査読に関する意識調査の結果として、“Peer Review Motivations Report 2020”を公開したことを発表しました。

英国物理学会出版局は、2018年1月から2020年3月に同出版局の雑誌への査読を行った、または査読の依頼を受けたことのある1,200人以上の研究者に対して、査読の動機等に関する意識調査を実施しました。なお、調査対象とした研究者群については、代表標本を構築するため中国の研究者に意図して偏らせたことや、物理学研究者の現状を反映して回答者の86%が男性となったことを留意点として説明しています。調査から得られた主な知見として以下のことを報告しています。

・査読を引き受ける動機は、対象となる論文への興味・雑誌の評判・研究コミュニティの期待等の要因が大きく、金銭的報酬は動機とはならないと回答した研究者が多い
・ドイツ・米国・英国の研究者の40%以上が査読の依頼が多すぎると感じている。同様に感じている中国やインドの研究者が10%程度であることと対照的である
・査読者は、論文に関する最終決定や査読の品質に対するコメント等、自身の査読に対して何らかのフィードバックを得ることに最も価値を置いている

レポートの全文は、英国物理学会出版局のウェブサイト上で公開されています。

IOP Publishing report reveals continued global imbalance in distribution of peer review(IOP Publishing,2020/8/27)
https://ioppublishing.org/news/iop-publishing-report-reveals-continued-global-imbalance-in-distribution-of-peer-review/

Peer Review Motivations Report 2020(IOP Publishing)
https://ioppublishing.org/peer-review-survey-insights/

参考:
CA1961 – 動向レビュー:岐路に立つ査読と、その変化に踏み込むPublons / 松野 渉
カレントアウェアネス No.341 2019年9月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1961

IOP Publishingが査読者の識別・透明性、多様性、効率の課題に取り組むために、Publonsと提携すると発表
Posted 2020年2月12日
https://current.ndl.go.jp/node/40218

査読登録サービスPublons、査読に関する現状調査報告書を公開
Posted 2018年9月12日
https://current.ndl.go.jp/node/36648

Taylor & Francis社が研究者の査読に関する意識やトレーニングや支援の実態をまとめた報告書“Peer review : A global view”を公開
Posted 2016年7月14日
https://current.ndl.go.jp/node/32081

2030年、ピア・レビューはどうなっている?
Posted 2017年5月9日
https://current.ndl.go.jp/node/33957