英国物理学会出版局(IOP Publishing)、所有する全ジャーナルの査読方式をダブルブラインドとする予定であることを発表

2020年9月8日、英国物理学会出版局(IOP Publishing)は、所有する全ジャーナルの査読方式をダブルブラインドとする予定であることを発表しました。ポートフォリオ全体でこのアプローチを採用する物理学出版社は同出版局が初めてとしています。

ダブルブラインドとは、著者・査読者の双方にお互いの素性を示さずに行われる査読形式です。同出版局は2017年以降、所有するいくつかのジャーナルにおいて、著者がダブルブラインドによる査読を選択できるオプションを設けており、多くの著者からシングルブラインド(著者の素性は査読者に示される一方、査読者の素性は著者に示さない方式)よりも公平であるとして好意的な評価が得られたと述べています。

同出版局は、今回の移行は学術出版プロセスにおけるジェンダー・人種・地理的な偏りに対する同社の取組の一環であり、ダブルブラインドの採用によって、ジェンダー・人種・出身国・所属に関するバイアスを低減できる可能性があるとしています。

移行は段階的に行われ、2020年末までに一部のジャーナルがダブルブラインド方式のみとなるほか、目標として、2021年末までにポートフォリオ全体を移行させることを挙げています。

IOP Publishing commits to adopting double-blind peer review for all journals(IOP Publishing, 2020/9/8)
https://ioppublishing.org/news/iop-publishing-commits-to-adopting-double-blind-peer-review-for-all-journals/

参考:
英国物理学会出版局(IOP Publishing)、世界各国の1,200人以上の研究者を対象とした査読に関する意識調査の結果を公開
Posted 2020年9月4日
https://current.ndl.go.jp/node/41925

Natureと系列誌で2015年3月から査読時にダブル・ブラインド制が選択可能に
Posted 2015年2月19日
https://current.ndl.go.jp/node/28025

CA1961 – 動向レビュー:岐路に立つ査読と、その変化に踏み込むPublons / 松野 渉
カレントアウェアネス No.341 2019年9月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1961

CA1829 – 査読をめぐる新たな問題 / 佐藤 翔
カレントアウェアネス No.321 2014年9月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1829