英国物理学会出版局(IOP Publishing)、査読者に査読レポートのフィードバックの提供を開始

2023年11月14日、英国物理学会出版局(IOP Publishing:IOPP)が、学術論文の査読者に対し、査読レポートのフィードバックの提供を開始したことを発表しました。

査読者がフィードバックを希望する場合、IOPPはその査読者の査読レポートが内部の編集者にとってどの程度有益であったかを5段階で評価します。これにより、査読者は査読レポートの構成や有用性に関する建設的な情報を得ることができるとしています。

フィードバックの導入に当たっては、IOPPのジャーナル3誌について事前トライアルが行われ、参加した査読者の85%が自らの査読レポートのフィードバックを受けることが有益であると回答したとしています。2023年9月から、IOPPが保有する全ジャーナルでフィードバックが導入されており、既に査読者2,700人以上が希望しているとあります。

発表の中では、2018年1月から2020年3月までにIOPPのジャーナルの査読を行った、又は査読を依頼された1,200人以上の研究者を対象とした、査読に対する意識調査の結果についても触れられています。

IOP Publishing unveils industry-leading feedback system for reviewers(IPO, 2023/11/14)
https://ioppublishing.org/news/iop-publishing-unveils-industry-leading-feedback-system-for-reviewers/
https://ioppublishing.org/peer-review-survey-insights/
※二つ目のURLは査読に対する認識調査の結果です。

参考:
英国物理学会出版局(IOP Publishing)、優れた査読者を表彰するOutstanding Reviewer of the Year Awardの受賞者を発表 [2023年04月24日]
https://current.ndl.go.jp/car/180725

英国物理学会出版局(IOP Publishing)、オープンアクセス(OA)ジャーナルのポートフォリオ全体で“Transparent Peer Review”を利用可能に:査読者のコメントや著者の回答等を公開 [2022年2月8日]
https://current.ndl.go.jp/car/45609

英国物理学会出版局(IOP Publishing)、世界各国の1,200人以上の研究者を対象とした査読に関する意識調査の結果を公開 [2020年09月04日]
https://current.ndl.go.jp/car/41925

IOP Publishingが査読者の識別・透明性、多様性、効率の課題に取り組むために、Publonsと提携すると発表 [2020年02月12日]
https://current.ndl.go.jp/car/40218

CA2048 – 動向レビュー:査読は無償であるべきか? / 佐藤 翔
カレントアウェアネス No.357 2023年9月20日
https://current.ndl.go.jp/ca2048

CA1961 – 動向レビュー:岐路に立つ査読と、その変化に踏み込むPublons / 松野 渉
カレントアウェアネス No.341 2019年9月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1961

※タイトルと本文の一部を修正しました。(2024/2/2)