2023年の学術出版に関する動向まとめ(記事紹介)

2024年1月30日付けで、国際学術会議(ISC)が、学術出版に関する2023年の主な動向をまとめた記事“A promising year ahead for scientific publishing”をウェブサイト上に掲載しました。著者はISCでプロジェクトコンサルタントを務めるMoumita Koley氏です。

2023年の学術出版に関連した重要な動きとして、以下のような点が挙げられています。

・ 高額な論文掲載料(APC)への抗議を契機とした、ジャーナル編集者の大量辞任と新たなオープンアクセス(OA)ジャーナルの立ち上げ
・ 論文の質を理由としたジャーナルのデータベースからの取下げや撤回論文の増加を始めとする、研究公正をめぐる課題の浮上
・ 欧州の機関等による著者・読者に費用負担を求めないダイヤモンドOAの推進
・ ScopusやWeb of Scienceといった商用の学術文献データベースからの脱却の動き

このほか、記事の中では、学術出版システムの改革に向けたISCの取組や2024年の展望が述べられています。

A promising year ahead for scientific publishing(ISC, 2024/1/30)
https://council.science/current/blog/a-promising-year-ahead-for-scientific-publishing/

参考:
オープンアクセスリポジトリ推進協会(JPCOAR)、「結論と今後の展望」を公開:ダイヤモンドオープンアクセスに関する翻訳文書 [2024年02月06日]
https://current.ndl.go.jp/car/209908

出版倫理委員会(COPE)、「論文工場」(paper mill)に関する見解を表明 [2024年01月23日]
https://current.ndl.go.jp/car/209325

フランス国立科学研究センター(CNRS)、抄録・引用文献データベースScopusの購読契約を終了 [2024年01月15日]
https://current.ndl.go.jp/car/208829

Retraction Watch、学術ジャーナル編集者の集団辞職に関するリストを公開:2015年以降の事例を掲載 [2023年10月04日]
https://current.ndl.go.jp/car/193658

船守美穂. 動向レビュー:即時オープンアクセスを巡る動向:グリーンOAを通じた即時OAと権利保持戦略を中心に. カレントアウェアネス. 2023, (358), CA2055, p. 15-23.
https://current.ndl.go.jp/ca2055