英国の文化・メディア・スポーツ省(DCMS)、公共貸与権制度を一部改訂:著者への支払額算出の方法等が変更

2023年10月10日、英国の文化・メディア・スポーツ省(DCMS)は、公共貸与権(PLR)制度の内容を2023年10月末から一部改訂すると発表しました。

現行の制度では、貸出し1回当たりの支払単価は、制度の中央基金の資金をサンプル提供館からのデータを基に算出した公共図書館における年間総貸出回数で割ることで算定され、年間最大6,600英ポンド(約120万円)までが著者に支払われることになっています。

今回の改訂は、同制度を運営する英国図書館(BL)が、国内の全ての図書館行政庁(library authority)から貸出しに関するデータを包括的に収集できるようにするもので、これにより著者に対する公正な支払が可能になると説明されています。

また同改訂では、亡くなった著者から書籍の権利を相続した人向けの手続が簡略化されます。

Library book loan payment scheme updated to benefit authors(GOV.UK, 2023/10/10)
https://www.gov.uk/government/news/library-book-loan-payment-scheme-updated-to-benefit-authors

Government response to a consultation on the Public Lending Right Changes 2023(GOV.UK)
https://www.gov.uk/government/consultations/consultation-on-technical-amendments-to-the-public-lending-right-scheme-2023/outcome/government-response-to-a-consultation-on-the-public-lending-right-changes-2023

参考:
英国のデジタル・文化・メディア・スポーツ省(DCMS)、公共貸与権による支払い対象の範囲拡大を発表:北アイルランドの公共図書館による「遠隔電子貸出」を新たに追加 [2021年06月24日]
https://current.ndl.go.jp/car/44275

英国、2018年7月1日から公共貸与権の対象を電子書籍・オーディオブックに拡大 [2018年06月12日]
https://current.ndl.go.jp/car/36144

CA1754 – 動向レビュー:英国における公貸権制度の最新動向―「デジタル経済法2010」との関連で / カオリ・リチャーズ
カレントアウェアネス No.309 2011年9月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1754

CA2011 – 動向レビュー:電子書籍を中心とした公貸権制度の2005年以降の国際動向 / 稲垣行子
カレントアウェアネス No.350 2021年12月20日
https://current.ndl.go.jp/ca2011