英国文化・メディア・スポーツ省(Department for Culture, Media & Sport)は、公共貸与権制度の対象を非図書資料に拡張する件について、2014年2月13日から3月13日まで意見を公募し、5月8日にそれらについての回答を公開しました。
公貸権制度の対象を、オーディオブック、図書館の施設内でダウンロードされ、施設外で利用される電子書籍まで含め、権利者に製作者やナレーターを追加することについて、意見公募を行ったとこのとです。
合計で20件の意見が寄せられたとのことです。政府側から提示された7つの提案に対する意見とそれについての政府の回答がまとめられています。また、7つの提案に含まれない事項についても意見がよせられ、回答が示されています。
既存のライセンスの位置づけ、権利者が公貸権の受益者の権利を持っていることをどのように証明するか、公貸権制度へのオーディオブックや電子書籍の登録にISBNを利用すべきか否かなどが主要な論点として挙げられたとのことです。
公貸権制度の拡張に遠隔地での電子書籍のダウンロードが含まれないことについての懸念が多くよせられたようですが、政府側の回答では、現状ではEU法の制限により実現できないことが示されています。
政府側の提案については概ね賛同を得たとされ、今後、規定案の修正を行い、2016年2月からの支払いに備えて、2014年6月1日から権利者の作品の登録を開始する予定とのことです。
Consultation on the extension of the Public Lending Right to Rights of holders of books in non-print formats(Department for Culture, Media & Sport)
https://www.gov.uk/government/consultations/consultation-on-the-extension-of-the-public-lending-right-to-rights-of-holders-of-books-in-non-print-formats
Government response to the public consultation on the extension of the Public Lending Right to rights holders of books in non-print formats(Department for Culture, Media & Sport, 2014/5)
https://www.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/309671/PLRExtGovRes_v2final__2_.docx
参考:
CA1754 – 動向レビュー:英国における公貸権制度の最新動向―「デジタル経済法2010」との関連で / カオリ・リチャーズ カレントアウェアネス No.309 2011年9月20日
http://current.ndl.go.jp/ca1754
英バイジィ文化相、公共図書館における電子書籍等貸出を公貸権の対象にすることを英国著作家協会に通知
Posted 2013年7月19日
http://current.ndl.go.jp/node/23965
英国公貸権組織Public Lending Rightが英国図書館へ統合
Posted 2013年3月29日
http://current.ndl.go.jp/node/23216