2023年5月3日、英国国立・大学図書館協会(SCONUL)と英国研究図書館コンソーシアム(RLUK)が、学術関係者に対し、フルオープン学術出版への移行を支援するよう要請する共同声明を発表しました。
Springer Nature社との合意は、英・Jiscが学術界を代表して詳細かつ懸命に交渉した結果であり、合理的に達成され得る最良の結果であったことを歓迎しています。一方で、学術出版を持続可能かつ適正価格とするために必要な文化的シフトを実現していくにあたっては深刻な懸念も残っているとし、学術関係者に対し、以下を含む7つの提言を行っています。
・自分自身の決断が、学術出版の形成にどのように役立っているかを考える。
・自らの専門分野においてオープンな研究の普及を積極的に推奨し、そうした集団的な力が、出版の状況を変えるのにどのように役立つかを検討する。
・研究の質よりもジャーナルの評判に基づいて昇進や優遇が行われている事例に挑戦し、英国の大学の約半数がすでに署名している「研究評価に関するサンフランシスコ宣言」(DORA)に示された原則を採用する。
Libraries call on academic colleagues to help shift to full open academic publishing(SCONUL, 2023/5/3)
https://www.sconul.ac.uk/news/libraries-call-on-academic-colleagues-to-help-shift-to-full-open-academic-publishing
Libraries call on academic colleagues to help shift to full open academic publishing(RLUK, 2023/5/4)
https://www.rluk.ac.uk/libraries-call-on-academic-colleagues-to-help-shift-to-full-open-academic-publishing/
参考:
英・Jisc、英国の大学がSpringer Nature社とオープンアクセス(OA)出版契約に合意したと発表 [2023年05月26日]
https://current.ndl.go.jp/car/182226
英国の主要大学で構成されるRussell Groupら、Springer Nature社からの提案受け入れを拒否する声明を発表 [2023年03月01日]
https://current.ndl.go.jp/car/173285
CA1903 – 動向レビュー:研究助成機関によるオープンアクセス義務化への大学の対応―英国の事例― / 花﨑佳代子
カレントアウェアネス No.332 2017年6月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1903
CA1990 – 動向レビュー:プランS改訂版発表後の展開―転換契約等と出版社との契約への影響 / 船守美穂
カレントアウェアネス No.346 2020年12月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1990
CA1977 – 動向レビュー:学術雑誌の転換契約をめぐる動向 / 尾城孝一
カレントアウェアネス No.344 2020年6月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1977