ASMEとIEEE、米国大統領府科学技術政策局(OSTP)覚書のオープンアクセス方針は研究とイノベーションを制限するとする共同声明を発表

2023年4月24日、米国機械学会(American Society of Mechanical Engineers:ASME)と米国電気電子学会(Institute of Electrical and Electronics Engineers:IEEE)が、2022年8月に米国大統領府科学技術政策局(OSTP)が発表した、連邦政府から助成を受けた全ての研究成果の公開を求める覚書に対する共同声明を発表していました。

声明では、覚書の方針は一見シンプルで称賛に値するようにも思えるものの、それほど単純なことではなく、広範囲に及ぶ結果をもたらすものであるとしています。現在の計画では、研究を民主化しようとするOSTPの努力は逆効果を生み出す可能性が非常に高く、最高かつ最も価値のある出版資産を最も裕福なエリートに限定することになり、米国の研究エコシステムにダメージを与え、国のイノベーション能力を阻害すると述べられています。

なお、2023年4月11日付のThe Hill紙には、ASMEのエグゼクティブディレクター兼CEOのTom Costabile氏とIEEE会長のEduardo F. Palacio氏の連名で、本件に関する記事が掲載されています。

ASME and IEEE: White House Open Access Proposal Will Limit Research and Innovation
https://www.asme.org/government-relations/capitol-update/asme-and-ieee-white-house-open-access-proposal-will-limit-research-and-innovation

関連:
White House open access proposal would limit research and innovation(The Hill, 2023/4/11)
https://thehill.com/opinion/congress-blog/3943523-white-house-open-access-proposal-would-limit-research-and-innovation/

参考:
arXivとbioRxiv・medRxiv、米国大統領府科学技術政策局(OSTP)の覚書に対する公開書簡を発表 [2023年05月02日]
https://current.ndl.go.jp/car/181102

米・アイビー・プラス図書館連合(IPLC)、米国大統領府科学技術政策局(OSTP)へ書簡を送付したことを発表し書簡の内容も公開 [2023年03月16日]
https://current.ndl.go.jp/car/174202

米国大統領府科学技術政策局(OSTP)、連邦政府の科学的完全性に関する方針と実践を強化するためのフレームワークを発表 [2023年01月30日]
https://current.ndl.go.jp/car/171605

米国大統領府科学技術政策局(OSTP)、連邦政府全体でのオープンサイエンスの推進を発表:2023年を「オープンサイエンスの年」と位置付け [2023年01月30日]
https://current.ndl.go.jp/car/171598

E2564 – 米国・OSTPによる研究成果公開に関する政策方針について
カレントアウェアネス-E No.449 2022.12.22
https://current.ndl.go.jp/e2564