2023年4月11日、プレプリントサーバのarXivとbioRxiv・medRxivが、2022年8月に米国大統領府科学技術政策局(OSTP)が発表した連邦政府から助成を受けた研究成果の即時公開を求める覚書に対する公開書簡を発表しました。
arXivは、覚書が連邦資金による研究への自由、即時、公平なアクセスの確保するとした点について歓迎すべきことであるとしています。この政策により、公的資金による研究努力の成果への公平なアクセスが可能となってより多くの研究が実現されるだけでなく、大きな社会的・経済的利益をもたらす可能性があるとしています。また、研究結果のプレプリント投稿により、数ヶ月、場合によっては数年にわたる出版遅延を回避し、世界中の研究結果に迅速かつ無料でアクセスすることができるとしています。
また、bioRxivとmedRxivも共同で公開書簡を発表し、同じく覚書を歓迎するとしています。そして、政府機関が、連邦政府が資金提供した研究のレポートをジャーナル出版に提出する前に、arXiv、bioRxiv、medRxiv等のサーバで「プレプリント」への投稿を義務付けることで、研究結果へのパブリックアクセスが可能となるとしています。従来の科学ジャーナルの評価に伴う長い遅延を回避して情報をすぐに入手できるほか、従来の査読システムにも変化をもたらす機会となりうるとしています。
arXiv joins bioRxiv and medRxiv in responding to the Nelson Memo(arXiv, 2023/4/11)
https://blog.arxiv.org/2023/04/11/arxiv-joins-biorxiv-and-medrxiv-in-responding-to-the-nelson-memo/
arXiv OSTP memorandum response(arXiv, 2023/4/11)
https://info.arxiv.org/about/OSTP-04-11-2023.html
bioRxiv and medRxiv response to the OSTP memo – an open letter to US funding agencies(bioRxiv、2023/4/11)
https://connect.biorxiv.org/news/2023/04/11/ostp_response
参考:
米・アイビー・プラス図書館連合(IPLC)、米国大統領府科学技術政策局(OSTP)へ書簡を送付したことを発表し書簡の内容も公開 [2023年03月16日]
https://current.ndl.go.jp/car/174202
米国大統領府科学技術政策局(OSTP)、連邦政府の科学的完全性に関する方針と実践を強化するためのフレームワークを発表 [2023年01月30日]
https://current.ndl.go.jp/car/171605
米国大統領府科学技術政策局(OSTP)、連邦政府全体でのオープンサイエンスの推進を発表:2023年を「オープンサイエンスの年」と位置付け [2023年01月30日]
https://current.ndl.go.jp/car/171598
E2564 – 米国・OSTPによる研究成果公開に関する政策方針について
カレントアウェアネス-E No.449 2022.12.22
https://current.ndl.go.jp/e2564