カナダ・アルバータ大学図書館が刊行するオープンアクセス誌EBLIP(Evidence Based Library and Information Practice)の第18巻第1号に、“Public Libraries and Health Promotion Partnerships: Needs and Opportunities”が掲載されています。著者は米・ノースカロライナ大学グリーンズボロー校のNoah Lenstra氏とJoanne Roberts氏です。
近年、北米の公共図書館では、ヘルスワーカーやソーシャルワーカーなどのパートナーと連携して利用者にエッセンシャルヘルスケアサービスを提供するようになってきているものの、パートナーシップの範囲やニーズについてはあまり知られていないとし、論文では公共図書館が関与する健康増進パートナーシップには、どのようなニーズと機会があるのかについて考察しています。
123人の図書館員に対してオンライン調査を実施するなどした結果、図書館のキャパシティーは限られているものの、パートナーシップを通して利用者の健康をサポートしたいという図書館員の強い思いが明らかになったとしています。また、パートナーシップの実施状況やニーズについて、地域間また都市/地方間で格差が存在することも述べられています。その他、図書館で発生している医療・健康関連の問題や、どのようなパートナーとの連携を望むかなどについての調査結果も報告されています。
Lenstra, Noah; Roberts, Joanne. Public Libraries and Health Promotion Partnerships: Needs and Opportunities. EBLIP. 2023, Vol.18(1).
https://doi.org/10.18438/eblip30250
参考:
図書館はいかにして精神疾患を持つ人々の避難場所になったか(記事紹介) [2022年10月05日]
https://current.ndl.go.jp/car/46943
図書館はホームレスの解決策の一部であるべきか(記事紹介) [2022年09月20日]
https://current.ndl.go.jp/car/46853
米・ジョージア州の図書館とホームレスの人々のニーズ(文献紹介) [2022年08月10日]
https://current.ndl.go.jp/car/46638
オーストラリア・メルボルン市、市立図書館でフルタイムのソーシャルワーカーを雇用[2019年09月10日]
https://current.ndl.go.jp/car/38988
米・オレゴン州マノトマ郡立図書館システム、ホームレスに対応するため、ソーシャルワーカーと契約(記事紹介) [2016年05月12日]
https://current.ndl.go.jp/car/31576
E1016 – ホームレス支援のため図書館がソーシャルワーカーを雇用(米)
カレントアウェアネス-E No.165 2010.02.03
http://current.ndl.go.jp/e1016
CA1809 – 動向レビュー:ホームレスを含むすべての人々の社会的包摂と公共図書館 / 松井祐次郎 カレントアウェアネス No.318 2013年12月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1809