「我々の役割は重要」:ウクライナの図書館員戦士の戦い(記事紹介)

英・Guardian紙に、2022年12月4日付で記事“Our mission is crucial’: meet the warrior librarians of Ukraine”が掲載されています。

記事は、ロシアによる侵攻が続くウクライナにおける、同国の図書館員等の状況や取組を伝えています。ロシアはウクライナへの侵攻の初期から図書館等を攻撃対象としてきたとし、ソ連時代の機密情報のあったチェルニヒウの文書館を破壊したほか、他の地域でも公文書等を略奪したことを挙げています。こうした状況下においても、図書館や公文書館などが重要な役割を果たすために機能しているとし、国立公文書館の責任者は「アーカイブの破壊は文化的ジェノサイドの一部とみなされる可能性があり、我々の役割は非常に重要だ」と語っているとしています。

2022年2月24日のロシアによる侵攻以降、ウクライナの国の記憶をめぐる戦いは、文化的遺産の物理的な保存と、アーカイブのデジタル化という2つの形をとっているとしています。後者については”Saving Ukrainian Cultural Heritage Online” (SUCHO)が立ち上げられ、これまでに50TBのデータがアーカイブされたことなどを伝えています。また、物理的な破壊にも関わらず、図書館は継続しているだけでなく避難民のセンターなどの新たな役割を果たしていると紹介しています。同国図書館協会長のOksana Bruy氏の「図書館は建物(building)ではない。図書館はコミュニティである。」という言葉も紹介しています。

‘Our mission is crucial’: meet the warrior librarians of Ukraine(The Guardian, 2022/12/4)
https://www.theguardian.com/books/2022/dec/04/our-mission-is-crucial-meet-the-warrior-librarians-of-ukraine

参考:
ウクライナの図書館員はいかにしてロシアの文化戦争に「動員」されたのか?(記事紹介) 2022-08-22
https://current.ndl.go.jp/car/46693

ウクライナのデジタルアーカイブをバックアップする:SUCHOにボランティアとして参加する図書館員等の取組(記事紹介) 2022-04-18
https://current.ndl.go.jp/car/46002

図書館は「希望の島」であり続ける:ウクライナの図書館がロシアの侵攻にどのように対応しているか(記事紹介) 2022-04-14
https://current.ndl.go.jp/car/45991

ウクライナの文化遺産関係機関のオンライン上のデータを保存するプロジェクトが実施中2022-03-08
https://current.ndl.go.jp/car/45738

ウクライナ北部の都市チェルニヒウの図書館が空爆で破壊される(記事紹介) 2022-03-14
https://current.ndl.go.jp/car/45782

ロシアによるウクライナへの侵攻に対する、国立図書館・文書館・博物館および関係機関等の声明 2022-03-01
https://current.ndl.go.jp/car/45704

E2483 – ロシアによるウクライナ侵攻に関連する図書館・博物館の状況
カレントアウェアネス-E No.433 2022.04.21
https://current.ndl.go.jp/e2483