CA912 – フランス図書館の目録 / 安積暁美

カレントアウェアネス
No.171 1993.11.20


CA912

フランス図書館の目録

BNの蔵書のBDFへの移管にともない,1996年のBDF開館に間に合うようにBNの蔵書目録の遡及入力が進められている。以下は,1993年2月頃までの,EPBFとBNによる,BDF蔵書目録の準備状況である。

BDF蔵書目録 EPBFの勧告を受け,次のようになるはずである。1)BNの蔵書を中心に,視聴覚資料ほか,すべての資料を一つの巨大なデータベースに収める。2)目録法,典拠ファイル等は,BNで現行のものを引き継ぐが,技術革新も加える。フォーマットは,INTERMARC,件名標目はRAMEAU(パリ国立図書館の件名標目表),分類と請求記号はDeweyを採用する。使い易いOPACにする。3)目録に一次文献の抜粋を付けてより充実させる。フィクションや参考図書,雑誌を除く図書に対し,その目次をmode texte(CA910参照)で入力し,目録に追加する。4)『フランス総合目録(以下CCF)』の中心となるデータベースとする。BDFをはじめフランスの主な図書館の蔵書目録のオンライン・ネットワーク化を図るCCFの事業は,BDF開館と同時に公開する。

BNの遡及入力事業 BDF計画の発表を受けて,1988年11月からBNによる事前調査が始まった。1970年以降受け入れ分は,BNのオンライン目録であるBN-OPALEに150万件を入力済である。遡及入力が必要な目録データは,1969年以前の,不完全・手書き・統一した目録規則によらないものを多数含む600万件におよび,既存のデータベースは利用できないにもかかわらず,事業完了はBDF開館にあわせなければならない。そこで,BNは,入力の原則を定め,1)すでにある目録を入力する(目録を作成し直さない) 2)記入してあるどんな情報も入力する 3)入力フォーマットはBN-OPALEと同じINTERMARCを採用する 4)アクセス・ポイントとコード化情報を追加することとした。600万件を4年間で遡及入力すべく,1989年11月からBNはSilogia社と,遡及入力の全工程を考案した。

また,1947年以後初めての全館的蔵書点検も同時に行うことを決めた。その量は900万点におよび,この事業も,機械化を外注し,非常勤職員を大量に雇用して,1991年2月より順調に進み,400万件を処理済である。

遡及入力は,1期の400万件と2期の200万件に分割した。より若い目録群の1期の国際競争入札では,1991年2月に,入力業者3社,AIC社,Jouve社,Saztec社(英国図書館でデータベース化担当),点検作業にBureau Van Dijk社,統合処理作業にJouve社と契約した。BNでは,16名で担当班を作って対応している。

実際の入力作業は,BNが,入力業者に,目録を毎月1グループずつ流すことに始まる。入力業者は,入力・校正した後,INTERMARCフォーマットの磁気テープにして,BNに納入する。その磁気テープは点検業者で,網羅性・品質について1,250件を標本に選んで厳しく点検される。BNは,その結果をみて,合格しない場合には入力業者にやり直しを命ずる。合格した入力データは,統合処理会社に渡され,内容細目のある目録は分割し,請求記号を統一化し,重複を除く作業をする。ただし,データの削除はすべてBNの指示による。入力済のデータで,1992年6月より内部利用のみのCD-ROMを作った。遡及入力を始めて2年間は計画どうりに進み,1期をほぼ完了した。

1992年に予定していた2期の入札は1993・1994年になるが,1996年末までにすべての遡及入力を完了する予定である。

その問題点 1)重複データが非常に多い。2)著者名・団体名典拠コントロールをしていないRAMEAU。3)以外の件名を採用しているものや件名の記入の無いものも多い。4)請求記号の調整が必要なデータが多い。以上は,BDF開館までに時間が無く充分な調査が出来ないため,BDFで何年もかけて手直しが必要になることが予想される。

安積曉美(あづみあけみ)

Ref: Beaudiquez, Marcelle. Le chantier conversion retrospective de la Bibliotheque nationale. Bull Bibl Fr 38 (3) 8-19, 1993
Boudet, Isabelle et al. Projet d'enrichissement pour le cataloque de la Bibliotheque de France. Bull Bibl Fr 38 (3) 50-52, 1993
Pasquignon, Anne. Le recolement a miparcours. Bull Bibl Fr 38 (3) 20-25, 1993