CA2012 – 研究文献レビュー:東日本大震災と図書館 / 熊谷慎一郎

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カレントアウェアネス
No.350 2021年12月20日

 

CA2012

研究文献レビュー

 

東日本大震災と図書館

宮城県図書館:熊谷慎一郎(くまがいしんいちろう)

 

1. はじめに

 本稿では、後述のとおり、東日本大震災と図書館に関する2017年以降の文献をレビュー対象とする(1)。対象文献は、国内で刊行された雑誌、紀要に掲載された記事や報告書を中心として取り上げている。図書館の館種については限定せず、様々な館種を取り上げるよう努めた。また、学術論文にとどまらず、東日本大震災という災害を対象とした個別の図書館における実践報告や体験記であっても、著者の見解や提言が示されているものについては、可能な限り取り上げるようにした。なお、東日本大震災以外の災害については、東日本大震災との比較・参照がなされているものは取り上げるようにしたが、直接的な言及がないものは割愛した。

 対象時期の背景を簡単に押さえておく。2017年以降という時期は東日本大震災の発生から6年経過した時期で、国の方針として掲げられた「復興・創生期間」に当たり、10年として設定された復興期間の後半に当たる時期でもある(2)。そして、本稿が公開される2021年は東日本大震災から10年目に当たる年であり、これは行政施策として捉えた場合には、復興期間の終了年に当たる。しかし、震災復興における課題は、福島第一原子力発電所による事故をはじめ、未だ残っている。国は、2021年度から2025年度までの5年間を復興期間後の新たな復興期間として「第2期復興・創生期間」と位置づけ(3)、復興庁では、蓄積した知見の活用を推進する担当班(復興知見班)を2021年3月に設置している。

 先行する文献レビューには、加藤(4)によるものがある。加藤は、文献の対象範囲をおよそ2009年から2017年前半と設定し、東日本大震災をはじめ様々な災害に対する図書館の対応に関し、「災害時の対応・危機管理」と「復旧支援」を中心に取り上げているため、東日本大震災と図書館にのみ焦点をあてたものではない。資料保存分野では、久永が被災して水に濡れた紙資料の救出・修復に関する文献を主な対象とする文献レビューを行っており、東日本大震災で被災した資料を救済する活動についてもまとめている(CA1791参照)。また、同じく資料保存をテーマに、矢野(5)は、災害との関連で図書館資料の修復・補修であるコンサベーションの章を立て被災資料の救済について触れている。

 本稿では、加藤(6)において、2017年前半までのものを広く取り上げていることを受け、これ以降の範囲として2017年以降2021年前半までに発表された文献を対象に、CiNii Articles、国立国会図書館サーチで検索した。キーワードは「東日本大震災」「震災」「災害」「アーカイブ」と適宜「図書館」を掛け合わせた。レビューの構成は、東日本大震災による図書館の被害および復旧・復興に関するもの、図書館の復旧・復興支援活動に関するもの、資料等のアーカイブに関するものをそれぞれ章として設定し展開する。

 

2. 東日本大震災による図書館の被害および復旧・復興に関するもの

 本章では、図書館や図書館資料が被災した被害状況やその復旧・復興過程を主題とした文献を対象とする。

 

2.1 復旧・復興の過程の記録誌

 東日本大震災の発生した直後の資料としては、各館の被害報告記事が多く確認できる(7)(8)(9)(10)。被害が大きかった図書館の復旧には時間を要したが、特に施設を新たに建築する場合は施設の本格復旧までに相当年数を要していることがわかる。2017年以降の復旧・復興に関する文献には、震災で大きな被害のあった図書館が仮設の施設を経て、建物を本格復旧した記事が多く見られる。図書館からの報告としては、岩手県・宮城県で地震や津波による被害から新館として本格復旧した図書館の記事が見られる(11)(12)(13)(14)(15)。執筆者が当該図書館職員以外の記事も見られ、それらは、復旧した図書館を紹介するものとなっている(16)(17)。学校図書館の再建記録では、岩手県大槌町立大槌学園の例が及川(18)により報告されている。各図書館が刊行する図書館史の中に東日本大震災発災後の経過が掲載されているものもあり、これも、図書館の復旧・復興の記録としては重要なものである。宮城県気仙沼市図書館は、『気仙沼市の図書館100年のあゆみ』(19)の中で、市内各館の東日本大震災の被災から復旧までをまとめている。

 

2.2 被災当事者による体験記

 発災から一定期間を経ると、被災から復旧までの経過をまとめた記録が多く刊行され、なかでも、実際に震災に直面した経験者の語りである体験記はその記録として大きな価値を持つ。体験記を集成した資料に『東日本大震災 あの時の図書館員たち』がある(20)。この資料には被害の大きな東北3県の様々な図書館に発災当時勤務していた職員45人が直面した経験を収録している。他にも震災を振り返る体験記は様々な媒体に掲載されており、例えば、大場(21)は当時の体験を踏まえ、東日本大震災から10年に寄せて児童生徒に向けて読んでほしい本の選書とともに、当時の体験や記録を残すことについて『図書館教育ニュース』に一文を寄せている。

 

2.3 様々な図書館サービスの観点から

 東日本大震災の経験知を一般化し、他の災害との比較や分析を通して、災害と図書館の有り様として考察した文献も見られる(22)。災害を教訓として次の災害に備えるという観点から、東日本大震災と他の自然災害による被災状況を比較分析したものとして、白井(23)は、台風被害をはじめ、「気象災害が頻発しており,スプリンクラー等の破損や津波を由来としない図書館の水害被災例が増えてきた。その一方で,図書館の復旧や被災資料の保全に携わる支援活動が活発化してきた。」とし、「この四半世紀の間の変化」と述べている。熊谷(24)は、地震や津波による被災館の復旧期間について、「期間を妥当と評価するか,長い(あるいは短い)と評価するかは今後検証されていくことになると思いますが,事実として,東日本大震災による図書館の被災から本格的に建物を整備して復旧させるまでの時間規模を共有しておく必要がある」と研究の必要性を指摘している。

 図書館建築の観点から、川島(25)が災害と施設のあり方について、津波被害、地震被害について整理し、図書館施設には「地震に対し安全であり,津波被害を受けないこと」が望ましく、また、近年多発している洪水・暴風・豪雪等の自然災害への備えを訴えている。建築学からのアプローチとして、恒松らは、東日本大震災における宮城県内の図書館の被害状況の調査をヒアリング(26)(27)およびアンケート(28)(29)により行い、さらに、災害時の対応と図書館建築についての研究を進めている(30)(31)(32)

 障害者サービスの観点からは、加藤(33)が東日本大震災の直後に各県の点字図書館が行った取組を報告している。点字図書館が、視覚障害者への本格的な支援を行った日本盲人福祉委員会の現地対策本部事務所となるなど、各県の支援の拠点となったことを踏まえ、災害時に被災障害者に対して図書館は災害情報の収集と伝達・提供を担うべきとし、日頃から障害者サービスを実施していくことの重要性を訴えている。

 

2.4 福島県の図書館

 被災した図書館の本格復旧が進む一方、福島県の浜通り地方は、地震・津波に加え、原子力発電所の事故による被災があり、10年を経過してもなお復旧に向けた取組が進められているところである。南相馬市立中央図書館の状況が庄子(34)により報告されており、福島県内の図書館について吉田(35)および鈴木(36)により概況が報告されている。鈴木は、双葉町、大熊町、浪江町、富岡町の図書館の現況をまとめ、「各自治体が基盤整備を急いでいるが,そのひとつとして,図書館再開は重要」と指摘している。このほか日本図書館協会(JLA)東日本大震災対策委員会の活動報告にも、福島県内の図書館の状況について言及がある(37)(38)(39)。風間(40)は、震災当時から10年に渡る大熊町の図書館を取り巻く状況について報告している。

 吉田(41)は、福島県内沿岸地域の地方公共団体において未だ休館中の図書館があることに関し、「資料の収集に関しては空白期間が生まれているという事実」を指摘している。この空白は、大きな被害を受けた地域の資料が収集できていないために、後年になって振り返ったり検証したりするために資料を求めても、当該地域では入手が困難になる可能性につながるものである。図書館資料の収集を端緒とした図書館サービスの在り方における課題であろう。

 髙橋(42)は、2015年4月に開校した福島県立ふたば未来学園中学校・高等学校について、学校図書館の現状と課題を整理している。同校で実践されている探究学習に触れつつ、図書館の蔵書構成について「郷土資料に関していえば,各人が選択したテーマで震災からの復興を目指す本探究においては,震災後と同等以上に震災前の資料群が特別な意味をもつ場合がまれではない。」との指摘は、学校図書館に限らず、災害で被災した地域の図書館の蔵書の復旧の要諦と言える。

 

3. 図書館の復旧・復興支援に関するもの

 本章では、図書館の復旧・復興支援に寄せて、被災図書館に対する支援、様々な主体による被災地における図書活動支援について概観する(43)

 

3.1 支援活動の報告記事

 図書館の復旧・復興支援に関する記事は、その主体によるものが中心である。多くは支援活動の主体となった団体が刊行する活動記録であるが、支援活動に参加した図書館員が個人の経験談としてまとめた記事(44)もある。本誌において西村は公共図書館への支援について概観している(CA1868参照)が、以降、支援活動を広く概観し分析している文献は管見の限り見当たらない。様々な支援活動の実態は、個々の活動に関する資料を個別に収集し、分析することで把握することになると思われる。

 

3.2 各種団体・企業の支援活動

 各種団体・企業の支援活動を記した文献について触れる。JLAは、『図書館雑誌』で支援活動について報告しており、被災地域の図書館の概況、図書館協会に寄せられた支援などを年次で報告している(45)(46)(47)(48)(49)。JLAの支援活動に参加した高橋(50)らは、図書館と図書館関係者の復興支援活動と今後の課題を整理すべく、JLA東日本大震災対策委員会の活動を踏まえた考察を行っている。この記事は、大熊町図書館および富岡町図書館への立入り調査報告が含まれており、資料の被ばくという観点から、他にあまり見られないものとなっている。キハラ株式会社は、笑顔プロジェクト製作委員会を設置し、東日本大震災関連書籍を各地の学校に貸し出し、授業等で活用する「笑顔を届けるプロジェクト in school library」に取り組み、報告書を刊行した(51)。図書提供活動については、公益社団法人シャンティ国際ボランティア会が東北3県で実施していた移動図書館事業等を含む活動記録誌を刊行(52)し、現地で中心的な役割を果たした古賀がその活動について報告(53)、記録誌を刊行した(54)

 

3.3 図書館への復旧・復興支援のあり方

 東日本大震災からの図書館の復旧・復興支援に関し、その経験を基に図書館へのより適切な支援方法を模索しようとするものが見られるようになった。

 熊谷(55)は、支援の類型を支援対象により「図書館の復旧を支援するもの」と「図書活動を支援するもの」に大別し、さらに、間接的な支援活動として「支援活動に対する支援」を加えた整理をしている。

 千(56)は、「いわて高等教育コンソーシアム」で、震災発生直後に多かった「図書館資料の救済修復活動」から時間の経過とともに「図書館の再開館へ向けた準備支援活動」、「図書館への来館促進」といったニーズの変化に合わせた支援活動について報告している。そして、これらの活動を、「震災の3年後から始まった(中略)支援活動は,『図書館の復旧』という喫緊の支援ではなく,『学生の学び』を重視した支援活動」と評価している。併せて、学生が参加する支援活動について、活動資金の重要性を述べている。

 その他にも、学校図書館への支援については、公益社団法人全国学校図書館協議会震災対応委員会(57)で、主に学校への支援のあり方のうち、図書の寄贈という支援活動を整理している。「図書を寄贈するにあたっては,単に蔵書冊数だけが回復すればよいのではない。学校が求める図書は児童生徒の実情や授業内容などによって一校一校異なるため,それぞれのニーズに沿った支援が必要」であるとし、「受け入れ作業等に無理のない冊数を継続して寄贈する方法が望ましい」と訴えている。図書館への支援については、いずれの文献においても、受援側とよくニーズを確認し、必要な調整を経て行うことが望ましいことが読み取れる。

 

4. 東日本大震災に関連する資料等のアーカイブに関するもの

 東日本大震災発生を契機に、震災からの復旧・復興過程における様々な資料を収集し、残し、伝えていくという動きが起こった。被災地域の図書館ではこのような震災関連資料を早くから収集し、コレクションが構築された。一例として、被災の大きかった東北3県の県立図書館・政令指定都市立図書館においては、「震災関連資料コーナー」(岩手県立図書館)、「東日本大震災文庫」(宮城県図書館)、「東日本大震災復興ライブラリー」(福島県立図書館)、「3.11震災文庫」(仙台市民図書館)が設置され、いずれも、東日本大震災に関する資料を収集しており、そのコレクションに特定の名称が冠されている(58)。本章ではこのような震災関連の資料をアーカイブする活動に関する文献を概観するが、便宜上現物資料を中心とした震災関連資料コレクションと、デジタルアーカイブとして公開する震災デジタルアーカイブに分けて整理する。いずれも、震災に関する資料を収集対象としていることに違いは無く、震災の記録を残し、後世に伝え、未来の災害への備えに活用できることを目的としている。

 

4.1 震災関連資料コレクション

 竹内(59)は、著書『生きるための図書館』において、東日本大震災に直面した図書館の活動に1章を当て、図書館が、地域住民の語りを含む様々な災害記録の収集することの重要性に言及している。

 筑波(60)は、「福島県立博物館で扱う震災遺産」を「東日本大震災によって生み出された資料群」とし、その理念と事業展開を報告している。

 山田(61)は、白井(62)の整理を準用し、MLA(博物館、図書館、文書館)が収集対象とする災害アーカイブ資料を被災資料・災害資料に区分し、さらにそれらに、被災を契機として収集対象としたかどうか等の軸を加え細分し、整理をしている。この上で、「災害アーカイブ施設が災害アーカイブに関するすべての機能を担うことは現実的には難しく,むしろ既存のMLAでは対応しづらい部分を集中的に補完する形が望ましい」としている。災害が「日常化」する一方、被災資料の救済や災害資料の収集は一部の人の善意と使命感に依存しているという課題を提示し、「業務として被災資料や災害資料を扱うことのできるMLAが災害アーカイブの構築に積極的に関わっていくこと」を求めている。

 吉田(63)は、現物資料を中心とした災害アーカイブについて、図書館の役割・機能から検討している。吉田は、図書館における災害関連資料の扱いとして、「一次資料」(いわゆる災害遺物)の場合は維持活用に難があると指摘し、また、「二次資料」(避難所のチラシや壁新聞など)の一部は、個人のプライバシーに関わるものもあり、これらを提供するためには一定の手続きを必要としていることから、やはり活用に難があるとしている。この背景には、図書館として災害アーカイブを構築する場合は、「“住民への(情報)提供”という理念がなければならない」という吉田の主張があり、図書館の役割から見た災害アーカイブの構築を論じる際の重要な指摘となるであろう。

 また、学術研究の観点から、山川(64)は学術調査研究の過程で得られた記録を「組織的に保存されることが望ましいものの、現実には研究者が個人的に保存しており、研究組織の再編や研究者の異動・退職にともなって、散逸ないしは廃棄される恐れが非常に大きい」と研究記録のアーカイブ化の必要性を指摘している。

 瀬戸(65)は、原子力災害に関する災害資料について、「被災前の地域の姿」を残すという点を重視し、被災地にある生の資料をアーカイブとして収集整理する必要性を訴えている。

 図書館以外の主体が災害アーカイブの構築を担う例として、いくつか触れておきたい。福島県大熊町では、町の事業として「大熊町アーカイブズ事業」を実施しており、喜浦(66)はこの事業の企画段階でどのような検討が行われたのか、という過程を報告している。せんだいメディアテーク(宮城県仙台市)は「3がつ11にちをわすれないためにセンター」(通称:わすれン!)を設置し、市民との協働で映像や写真を活用した震災記録の収集や発信を行っている(67)。日本放送協会(NHK)には、震災報道の元になった取材メモをはじめとする資料が多く残されており、これを記録として位置づけ、整理したものの一部を公開した(68)。災害アーカイブでは、図書館や博物館等アーカイブ機能を有する機関の連携も、常に議論の俎上にのせられるが、阿部(69)は、関係機関の連携の形として、図書館が「博物館・資料館・美術館・文書館などの情報ネットワークをつなぐ中核,ハブ的な役割」を持つことで望ましいかたちに近づくとしている。

 

4.2 震災デジタルアーカイブ

 他方、震災デジタルアーカイブは、本誌において眞籠が宮城県内の地方公共団体による震災アーカイブの構築状況をまとめている(CA1867参照)ように、収集した資料をインターネットを通して公開するデジタルアーカイブの普及に伴い、東日本大震災に関連する資料についてもデジタルアーカイブとして公開する動きが見られる。このような震災デジタルアーカイブは、構築主体が図書館とは限らず、図書館以外の地方公共団体、企業、報道機関、研究機関等様々な主体によって公開されている。震災デジタルアーカイブの構築には、資料の収集、整理に加え、システム構築に一定の時間を要することから、関連する文献の件数は震災直後よりも、一定年数が経過した後に増加してきたと見るべきだろう(70)

 2017年以降、東日本大震災のデジタルアーカイブについて論じた文献も増えている。例えば、池田ら(71)は、東日本大震災で甚大な被害を受けた岩手県・宮城県・福島県を対象に、防災政策における活用実態についてアンケート調査を行い分析した結果を報告している。柴山ら(72)は東日本大震災を対象とした様々な震災デジタルアーカイブを分析し,メタデータの品質や資料の同一性に関するDOIの付与などの課題を指摘した。

 さらに,柴山ら(73)は、震災デジタルアーカイブの変遷をまとめ、その機能から「コンテンツフォルダ型」と「(コンテンツフォルダを横断的に検索する)横断検索型」に整理している。柴山らは「災害アーカイブの歴史は短く,震災アーカイブの総務省ガイドラインや岩手県ガイドラインがあるものの,収集する記録の種類や構築ルール,利活用方法などが確立していない」と指摘している。現物資料のコレクションとそのデジタル化した資料を公開する災害デジタルアーカイブ自体は東日本大震災以前から存在する取組であり、「歴史は短く」は、メタデータの標準化やAPIにより統合的な検索を可能とする仕組みを実現させる取組が近年になって見られるものであることを指した表現と推察される。

 また、柴山ら(74)は、東日本大震災に関する震災デジタルアーカイブの概要を整理し、「構築時の課題」として膨大な資料の分類整理、メタデータの付与をあげ、「利活用の課題」として、防災知識を持つ人材と震災アーカイブの利用知識を持つ人材の育成等を課題としてあげている。

 災害デジタルアーカイブを概観するための文献に、『デジタルアーカイブ・ベーシックス2 災害記録を未来に活かす』がある(75)。同書では、「第1部 震災・災害の記録を残すことの意義と目的」において、震災・災害アーカイブの役割を論じ、「第3部 未来のためのデジタルアーカイブ-震災・災害情報の活用」で個別の事例をあげながら、デジタルアーカイブについての利活用を論じている。

 個々の震災デジタルアーカイブについては、以下のような文献がある。「東日本大震災アーカイブ宮城」(76)については、日比(77)が、「全国的に見るとデジタルアーカイブ事業を活発に推進している公共図書館が少なからず存在しており、図書館がデジタルアーカイブを構築すること自体も一般化されつつある」としている。そして、震災関係資料の現物コレクションの公開に関して、「デジタルアーカイブ構築の土壌が備わっていた」とその構築背景を分析し、運営上の課題について実態を整理している。

 ハーバード大学エドウィン・O・ライシャワー日本研究所の構築した「日本災害DIGITALアーカイブ」について、ゴードンら(78)は、その概要を報告するとともに、災害デジタルアーカイブに関する課題として、アーカイブプロジェクトの継続性、権利処理、メタデータ、利用者コミュニティの構築と維持という4点を挙げている。

 国立国会図書館(NDL)が構築した「東日本大震災アーカイブ(ひなぎく)」については、池田(79)、服部(80)にその概要が報告されている。また、伊東(81)は、構築から5年以上を経て明らかになった課題として、検索に関するもの、システム維持に関するもの、アーカイブの閉鎖に関するものという3点を整理している。これらの課題のうち、アーカイブの継続性に関わる課題はその影響が大きく、収録されているコンテンツの行方を考えると無視できないものである。

 災害デジタルアーカイブでは、メタデータの設計も重要である。メタデータについては、個々の資料へのアクセス性向上に向けてメタデータの集約(資料の構成や内容に応じて作成した一定のまとまり)を試みるアプローチが研究されている(82)(83)(84)

 

5. 終わりに

 東日本大震災から10年が経過した。筆者が宮城県に居住しているからなのかもしれないが10年というのは経過していく時間軸におけるある時点に過ぎないと感じている。とは言え、一定の時間が経過すればそれに伴う変化は表れ、「東日本大震災と図書館」という主題は、他の災害との比較や分析とともに扱われることが増えている。災害は地域の歴史の一つであり、その地域で起こった災害を知ることは、地域を知ることにつながる一方、他の地域でも似たような災害が起こらないように、あるいは、被害を軽減できるようにするための備えにもつながる。災害を知ることが重要なのは、このような展開が期待されているからであり、そのための資料を入手することができると期待されるのが図書館であると考えられる。

 本稿が東日本大震災と図書館に関する研究や図書館における防災・減災のための一助となることを期待している。

 

(1) 今後の研究のために、文献レビューの趣旨から外れるが、東日本大震災と図書館に関する文献リストについても触れておく。
“7.3 主な新聞・雑誌記事”. 東日本大震災と図書館. 国立国会図書館関西館図書館協力課. 2012, p. 234-248., (図書館調査研究リポート, no. 13).
https://doi.org/10.11501/3487636, (参照 2021-10-01).
“<東日本大震災と図書館>関連記事”. 図書館年鑑2012. 日本図書館協会, 2012, p. 359-364.
図書館雑誌編集委員会. 特集, 東日本大震災から10年 : 『図書館雑誌』(2011-2020)掲載 災害・震災関連記事一覧. 図書館雑誌. 2021, vol. 115, no. 3, p. 146-151.
“7.4「カレントアウェアネス・ポータル」に掲載された関連記事”. 東日本大震災と図書館. 国立国会図書館関西館図書館協力課, 2012, p. 249-259., (図書館調査研究リポート, no. 13).
https://doi.org/10.11501/3487636, (参照 2021-10-01).
また、書誌としては、以下の資料に設定されている主題のうち「図書館・文書館」、「文化財の修復」に分類される箇所に関連文献を含んでいる。
日外アソシエーツ. 災害・防災の本全情報2004-2012. 日外アソシエーツ, 2012, 751p.
日外アソシエーツ. 災害・防災の本全情報2012-2020. 日外アソシエーツ, 2020, 758p.

(2) 「復興・創生期間」における東日本大震災からの復興の基本方針. 12p.
https://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat12/sub-cat12-1/20160311_kihonhoushin.pdf, (参照 2021-10-01).

(3) “「復興・創生期間」後における東日本大震災からの復興の基本方針”. 復興庁.
https://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat12/sub-cat12-1/20191219163929.html, (参照 2021-10-01).
この方針は2019年に策定され、2021年3月に改定された際「第2期復興・創生期間以降における東日本大震災からの復興の基本方針」と名称が定められた。
“「復興・創生期間」後における東日本大震災からの復興の基本方針の変更について”. 復興庁.
https://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat12/sub-cat12-1/20210311135501.html, (参照 2021-10-01).

(4) 加藤孔敬. 《ⅰ.総論》災害と図書館. 図書館界. 2018, vol. 70, no. 1, p. 22-53.
https://doi.org/10.20628/toshokankai.70.1_22, (参照 2021-10-01).

(5) 矢野正隆. 《ⅴ.図書館資料・情報資源》資料保存. 図書館界. 2018, vol. 70, no. 1, p. 275-286.
https://doi.org/10.20628/toshokankai.70.1_275, (参照 2021-10-01).

(6) 加藤. 前掲.

(7) “4 被災状況”. 東日本大震災と図書館. 国立国会図書館関西館図書館協力課, 2012, p. 61-92., (図書館調査研究リポート, no. 13).
https://doi.org/10.11501/3487636, (参照 2021-10-01).

(8) 加藤. 前掲

(9) “東日本大震災における被害状況一覧表”. 図書館年鑑2012. 日本図書館協会, 2012, p. 341-358.

(10)saveMLAK.
https://savemlak.jp/wiki/saveMLAK, (参照 2021-10-01).
このsaveMLAKプロジェクトは、博物館・美術館、図書館、文書館、公民館の被災情報を集約し、必要な支援等の情報を発信している活動である。当初は、東日本大震災を対象としていたが、様々な災害の発生の都度、情報の集約と発信がなされている。

(11)村上利恵子. 特集, 東日本大震災から7年 : 陸前高田市立図書館,待望の開館! . 図書館雑誌. 2018, vol. 112, no. 3, p. 146-147.

(12)千葉徳次. 特集, 災害時の対応 : 東日本大震災の教訓と図書館再建のあゆみ. 専門図書館. 2020, no. 299, p. 2-8.

(13)志賀美樹. 東日本大震災と図書館再建のあゆみ. 歴史地理教育. 2021, no. 922, p. 124-127.

(14)吉田睦美. 特集, 東日本大震災から10年 : 気仙沼図書館の震災後10年―「つながる図書館」を目指して―. 図書館雑誌. 2021, vol. 115, no. 3, p. 135-137.

(15)“講演 名取市図書館における東日本大震災からの復旧と復興”. 未来の図書館研究所第5回シンポジウム記録 図書館とレジリエンス. 未来の図書館研究所調査・研究レポート. 2020, no. 4, p. 37-43.

(16)米川なつみ. 陸前高田市立図書館を訪問して. St. Paul’s librarian. 2018, no. 32, p. 104-106.

(17)新藤透. 宮城県南三陸町図書館の歴史と東日本大震災後の現状. 日欧比較文化研究. 2019, no. 23, p. 69-86.

(18)及川順子. 特集, 東日本大震災から6年 : 《本の森》の創成―義務教育学校の図書室を生み出すまで―. 図書館雑誌. 2017, vol. 111, no. 3, p. 148-149.

(19)気仙沼市図書館100年のあゆみ編集委員. 気仙沼市の図書館100年のあゆみ. 気仙沼市図書館. 2018, 86p.

(20)日本図書館協会「東日本大震災あの時の図書館員たち」編集委員会編. 東日本大震災あの時の図書館員たち. 日本図書館協会, 2020, 237p.

(21)大場真紀. 東日本大震災と学校図書館 : みやぎの高校司書からのメッセージ. 図書館教育ニュース. 2021, no. 1555付録, p. 1.

(22)2019年2月に日本図書館研究会による「第60回研究大会シンポジウム 災害時における図書館の役割 : 資料・情報を守り伝えるために」が開催され、東日本大震災の経験を踏まえ、災害と図書館についてディスカッションがされた。ここで加藤が行った報告は、以下の文献を参照。
加藤孔敬. 《報告1》災害と図書館,震災の経験と文献から学んだこと,お伝えしたいこと. 図書館界. 2019, vol. 71, no. 2, p. 83-92.
https://doi.org/10.20628/toshokankai.71.2_83_2, (参照 2021-10-01).

(23)白井哲哉. 特集, 災害から考える図書館 : 図書館の被災から学ぶこと. 図書館雑誌. 2020, vol. 114, no. 3, p. 125-127.

(24)熊谷慎一郎. “東日本大震災の経験から : 図書館の役割を考える契機として”. 日本図書館協会「東日本大震災あの時の図書館員たち」編集委員会編. 東日本大震災あの時の図書館員たち. 日本図書館協会, 2020, p. 60-65.

(25)川島宏. 特集, 東日本大震災から10年 : 大震災と図書館施設の復旧・復興. 図書館雑誌. 2021, vol. 115, no. 3, p. 144-145.

(26)恒松良純, 佐藤晴基. “5051 東日本大震災における図書館の被害についての調査 図書館建築における災害時を想定した対応に関する基礎的研究 その1”. 学術講演梗概集・建築デザイン発表梗概集. 石川, 2019-09-03/06. 日本建築学会, 2019, p. 101-102.

(27)佐藤晴基, 大江真帆, 恒松良純. 宮城県内の東日本大震災における図書館の被害に関するヒアリング調査. 日本建築学会東北支部研究報告集 計画系. 2020, no. 83, p. 101-104.

(28)佐藤晴基, 恒松良純. “5052 東北6県を中心としたアンケート調査 図書館建築における災害時を想定した対応に関する基礎的研究 その2”. 学術講演梗概集・建築デザイン発表梗概集. 石川, 2019-09-03/06. 日本建築学会, 2019, p. 103-104.

(29)佐藤晴基, 恒松良純. 宮城県内の東日本大震災における図書館の被害に関するアンケート調査. 日本建築学会東北支部研究報告集 計画系. 2019, no. 82, p. 71-72.

(30)佐藤晴基, 恒松良純. “5287 17道府県の公共図書館の災害対策についての傾向の考察 図書館建築における災害時を想定した対応に関する基礎的研究 (その3)”. 学術講演梗概集・建築デザイン発表梗概集. 千葉, 2020-09-08/10. 2020, p. 577-578.

(31)門倉博之, 大江真帆, 恒松良純. “5553 図書館の閉架書庫における経路選択行動に関する実験的研究 その1 避難時の経路選択行動とその影響要因”. 学術講演梗概集・建築デザイン発表梗概集. 千葉, 2020-09-08/10. 2020, p. 1109-1110.

(32)大江真帆, 門倉博之, 恒松良純. “5554 図書館の閉架書庫における経路選択行動に関する実験的研究(その2) ヒアリング調査に基づく避難時の経路選択とその影響要因に関する考察”. 学術講演梗概集・建築デザイン発表梗概集. 千葉, 2020-09-08/10. 2020, p. 1111-1112.

(33)加藤俊和. 特集, 第60回研究大会シンポジウム : 《報告3》災害時にも障害者を支える地域の図書館としての役割. 図書館界. 2019, vol. 71, no. 2, p. 97-100.
https://doi.org/10.20628/toshokankai.71.2_97 , (参照 2021-10-01).

(34)庄子まゆみ. 特集, 東日本大震災から6年 : 復興と向き合う学びと図書館の役割―南相馬市立中央図書館の挑戦―. 図書館雑誌. 2017, vol. 111, no. 3, p. 142-144.

(35)吉田和紀. 特集, 東日本大震災から7年 : 福島県の図書館 ―「避難指示区域」の現状を中心に―. 図書館雑誌. 2018, vol. 112, no. 3, p. 148-149.

(36)鈴木史穂. 特集, 東日本大震災から10年 : 東日本大震災から10年 ―避難を余儀なくされた町の図書館 震災前と現在―. 図書館雑誌. 2021, vol. 115, no. 3, p. 132-134.

(37)JLA東日本大震災対策委員会. 特集, 東日本大震災から6年 : 東日本大震災対策委員会のこの1年の活動と復興に向けた動き. 図書館雑誌. 2017, vol. 111, no. 3, p. 139-141.

(38)JLA東日本大震災対策委員会. 特集, 東日本大震災から7年 :東日本大震災対策委員会の支援活動―この一年―. 図書館雑誌. 2018, vol. 112, no. 3, p. 144-145.

(39)JLA東日本大震災対策委員会. 特集, 防災・減災を考える ―その日に備えて : 東日本大震災対策委員会の支援活動―この1年―. 図書館雑誌. 2019, vol. 113, no. 3, p. 142-143.

(40)風間真由美. 特集, 災害を記憶する ―いま福島から次の10年へ : 地域の行政から―大熊町のこれまでとこれから,避難所での状況と「読書のまち おおくま」復興への思い. 現代の図書館. 2021, vol. 59, no. 1, p. 52-59.

(41)吉田和紀. 特集, 災害を記憶する―いま福島から次の10年へ : 図書館行政と災害アーカイブ これまでの10年とこれからの10年. 現代の図書館. 2021, vol. 59, no. 1, p. 40-44.

(42)髙橋則恭. 特集, 災害を記憶する-いま福島から次の10年へ : 学校図書館をつくるために ふたば未来学園中学校・高等学校図書館の現状と課題. 現代の図書館. 2021, vol. 59, no. 1, p. 45-51.

(43)被災した図書館の復旧・復興への支援以外にも、様々な支援活動がある。例えば、テイラー・アンダーソン記念基金による宮城県石巻地域での「テイラー文庫」の設置に関する活動は、直接的な図書館への復旧・復興支援ではないが、震災の犠牲となったテイラー・アンダーソン氏(宮城県石巻市で英語指導助手を務めていた)の遺志を引き継ぎ、市内各地の学校に本を寄贈する活動が行われている。この活動は、テイラー文庫によりテイラー氏に関する出来事を語るきっかけを作り出すものとなっており、単に本の寄贈という支援以外の意味を持っている。
テイラー・アンダーソン記念基金.
https://tamf.jp/ja/, (参照 2021-10-01).
千葉直美. 東日本大震災の伝承としての「テイラー文庫」 -石巻市立東浜小学校の活動を事例に-. 図書館雑誌. 2021, vol. 115, no. 3, p. 162-164.
千葉直美. 石巻専修大学図書館「テイラー文庫」について : 東日本大震災を伝える. 東北地区大学図書館協議会誌. 2017, no. 68, p. 1-4.

(44)例として、以下の文献は、震災当時のことや支援活動に参加した体験記である。
藤井真嗣. 東日本大震災二題. 医学図書館. 2019, vol. 66, no. 4, p. 240-243.

(45)JLA東日本大震災対策委員会. 前掲. 2017, vol. 111, no. 3, p. 139-141.

(46)JLA東日本大震災対策委員会. 前掲. 2018, vol. 112, no. 3, p. 144-145.

(47)JLA東日本大震災対策委員会. 前掲. 2019, vol. 113, no. 3, p. 142-143.

(48)JLA東日本大震災対策委員会. 特集, 災害から考える図書館 :東日本大震災対策委員会の支援活動 -この1年-. 図書館雑誌. 2020, vol. 114, no. 3, p. 135.

(49)西村彩枝子. 特集, 東日本大震災から10年 : 東日本大震災対策委員会活動の10年. 図書館雑誌. 2021, vol. 115, no. 3, p. 127-131.

(50)高橋隆一郎, 矢﨑省三. 図書館の復興とは,そして被災地域の復興における図書館の力とは. 共生と修復. 2018, no. 5, p. 11-26.
http://hdl.handle.net/2309/151575, (参照 2021-10-01).

(51)笑顔プロジェクト製作委員会. 東日本大震災復興支援活動 笑顔を届けるプロジェクトin school library 2015/6-2017/6. 2018, 45p.
https://www.kihara-lib.co.jp/project/egao/book2/index.html, (参照 2021-10-01).
笑顔プロジェクト製作委員会. 東日本大震災復興支援活動 笑顔を届けるプロジェクトin school library  2017/7-2021/3. 2021, 40p.
https://www.kihara-lib.co.jp/project/egao/bookf/index.html, (参照 2021-10-01).

(52)シャンティ国際ボランティア会 編. 試練と希望 : 東日本大震災・被災地支援の二〇〇〇日. 明石書店, 2017, 420p.

(53)古賀東彦. 特集, 東日本大震災から7年 : 東北3県を走り終えて -延べ7万人弱の利用者と共にした「立ち読み,お茶のみ,おたのしみ」-. 図書館雑誌. 2018, vol. 112, no. 3, p. 150-151.

(54)古賀東彦. ただ傍にいて : 東日本大震災7年間に聞いた心の声. 2019, 173p.

(55)熊谷. 前掲.

(56)千錫烈. 特集, 東日本大震災から6年 : 学生ボランティアによる被災図書館への支援活動の取り組みと課題. 図書館雑誌. 2017, vol. 111, no. 3, p. 145-147.

(57)公益社団法人全国学校図書館協議会震災対応委員会. 特集, 東日本大震災から6年 : 被災地の学校図書館の現状と今後の支援のありかた -東北三県への支援活動から見えてきたもの-. 図書館雑誌. 2017, vol. 111, no. 3, p. 150-151.

(58)本稿は一例を示したものであり、大学図書館や市町村図書館等においても、東日本大震災に関する資料のコレクションは多数存在している。例えば、東北大学附属図書館には「震災ライブラリー」が設置されており、その歩みについて、下記の文献において報告がある。
真籠元子, 永澤恵美, 影山啓太. 特集, 東日本大震災から10年 : 東北大学附属図書館における東日本大震災後の資料収集と活動について. 図書館雑誌. 2021, vol. 115, no. 3, p. 138-140.

(59)竹内悊. “第4章 災害から学んだこと”. 生きるための図書館. 岩波書店, 2019, p. 125-144.

(60)筑波匡介. 特集, 災害を記憶する -いま福島から次の10年へ : 震災遺産から考えたこと. 現代の図書館. 2021, vol. 59, no. 1, p. 30-33.

(61)山田英明. 特集, 災害を記憶する -いま福島から次の10年へ : 災害アーカイブの構築とMLA. 現代の図書館. 2021, vol. 59, no. 1, p. 34-39.

(62)白井哲哉. 災害アーカイブ : 資料の救出から地域への還元まで. 東京堂出版, 2019, 231p.

(63)吉田和紀. 前掲. 2021, vol. 59, no. 1, p. 40-44.

(64)山川充夫. 特集, 震災の記憶と記録 : 東日本大震災・原発災害と学術調査研究アーカイブ. 学術の動向. 2019, vol. 24, no. 9, p. 10-18.
https://doi.org/10.5363/tits.24.9_9, (参照 2021-11-03).

(65)瀬戸真之. 特集, 震災の記憶と記録 : 東日本大震災における災害資料のアーカイブズ化とその役割. 学術の動向. 2019, vol. 24, no. 9, p. 32-37.
https://doi.org/10.5363/tits.24.9_32, (参照 2021-11-03).

(66)喜浦遊. 特集, 震災の記憶と記録 : 震災を契機とした大熊町アーカイブズの取り組みについて. 学術の動向. 2019, vol. 24, no. 9, p. 26-31.
https://doi.org/10.5363/tits.24.9_26, (参照 2021-11-03).

(67)佐藤知久, 甲斐賢治, 北野央. コミュニティ・アーカイブをつくろう! : せんだいメディアテーク「3がつ11にちをわすれないためにセンター」奮闘記. 晶文社, 2018, 372p.

(68)入江さやか, 東山一郎, 三森登. 災害報道資料のアーカイブ化と活用の試み. 放送研究と調査, 2018, vol. 68, no. 4, p. 2-15.
https://doi.org/10.24634/bunken.68.4_2, (参照 2021-11-03).

(69)阿部浩一. 特集, 災害を記憶する -いま福島から次の10年へ : 災害アーカイブの使命と機能 文化財に関する図書館への期待. 現代の図書館. 2021, vol. 59, no. 1, p. 3-9.

(70)デジタルアーカイブ学会が2017年5月に発足したことに伴う専門誌『デジタルアーカイブ学会誌』の創刊も、文献数の増加に寄与していると思われる。

(71)池田真幸, 佐藤翔輔. 東日本大震災アーカイブの活用実態に関する調査分析. 地域安全学会論文集. 2020, vol. 37, p. 219-226.
https://doi.org/10.11314/jisss.37.219, (参照 2021-10-01).

(72)柴山明寛, 北村美和子, ボレー・セバスチャン, 今村文彦. 東日本大震災の事例から見えてくる震災アーカイブの現状と課題. デジタルアーカイブ学会誌. 2018, vol. 2, no. 3, p. 282-286.
https://doi.org/10.24506/jsda.2.3_282, (参照 2021-11-03).

(73)柴山明寛, 北村美和子, ボレー・セバスチャン, 今村文彦. [A02] 近年の震災アーカイブの変遷と今後の自然災害アーカイブのあり方について. デジタルアーカイブ学会誌. 2017, vol. 1, no. Pre, p. 13-16.
https://doi.org/10.24506/jsda.1.Pre_13, (参照 2021-10-01).

(74)柴山明寛, ボレー・セバスチャン. 東日本大震災アーカイブの概要と総論. デジタルアーカイブ学会誌. 2018, vol. 2, no. 4, p. 342-346.
https://doi.org/10.24506/jsda.2.4_342, (参照 2021-10-01).

(75)鈴木親彦責任編集. 災害記録を未来に活かす. 勉誠出版, 2019, 274p., (デジタルアーカイブ・ベーシックス, 2).

(76)東日本大震災アーカイブ宮城.
https://kioku.library.pref.miyagi.jp/, (参照 2021-10-01).

(77)日比遼太. 県が実施する震災アーカイブの利点と課題. デジタルアーカイブ学会誌. 2018, vol. 2, no. 4, p. 364-369.
https://doi.org/10.24506/jsda.2.4_364, (参照 2021-10-01).

(78)アンドルー・ゴードン, 森本涼. 日本災害DIGITALアーカイブの展開と展望. デジタルアーカイブ学会誌. 2018, vol. 2, no. 4, p. 347-352.
https://doi.org/10.24506/jsda.2.4_347, (参照 2021-10-01).

(79)池田勝彦. 特集, 東日本大震災から7年 : 国立国会図書館東日本大震災アーカイブ(ひなぎく) -現在の収集状況と利活用の促進について-. 図書館雑誌. 2018, vol. 112, no. 3, p. 152-153.

(80)服部菜都子. 特集, 映像・画像をのこす,伝える : 国立国会図書館東日本大震災アーカイブ(ひなぎく)における震災記録の収集・保存・提供の取組. 専門図書館. 2018, no. 292, p. 8-13.

(81)伊東敦子. 国立国会図書館東日本大震災アーカイブ(ひなぎく) : ~東日本大震災の記録を一元的に検索するポータルサイト~. デジタルアーカイブ学会誌. 2018, vol. 2, no. 4, p. 353-358.
https://doi.org/10.24506/jsda.2.4_353, (参照 2021-10-01).

(82)杉本重雄. [C03] メタデータの視点に基づくアーカイブとそのコンテンツのモデル化. デジタルアーカイブ学会誌. 2017, vol. 1, no. Pre, p. 67-70.
https://doi.org/10.24506/jsda.1.Pre_67, (参照 2021-10-01).

(83)横山雄哉, 積佑典, 三原鉄也, 永森光晴, 杉本重雄. “シンプルなメタデータが付与された東日本大震災アーカイブの写真資料のための時空間情報を利用したコンテンツ集約手法”. 第79回全国大会講演論文集. 愛知, 2017-03-16/18, 情報処理学会. 2017, p. 939-940.
http://id.nii.ac.jp/1001/00181772/, (参照 2021-10-01).

(84)武田侑季, 積佑典, 三原鉄也, 永森光晴, 杉本重雄. 東日本大震災アーカイブのメタデータ集約を指向したオントロジーの開発. 研究報告人文科学とコンピュータ(CH). 2018, vol. 2018-CH-116, no. 9, p. 1-7.
http://id.nii.ac.jp/1001/00185466/, (参照 2021-10-01).

 

[受理:2021-11-17]

 


熊谷慎一郎. 東日本大震災と図書館. カレントアウェアネス. 2021, (350), CA2012, p. 20-26
https://current.ndl.go.jp/ca2012
DOI:
https://doi.org/10.11501/11942245

Kumagai Shinichiro
The Great East Japan Earthquake and Libraries

In this paper, I reviewed literature published between 2017 and the first half of 2021 on the Great East Japan Earthquake and libraries. The literature includes articles on the damage and restoration of libraries affected by the Great East Japan Earthquake, support activities for libraries, and on archives of earthquake materials. Many years have passed since the earthquake, and there is much literature related to the restoration of libraries, many of which were heavily damaged. In addition, there are some libraries in Fukushima Prefecture that remain closed, and it will take a considerable amount of time to recover them. There is also literature related to earthquake archives, which can be classified into those housing physical materials and those holding digital materials. Both of types have faced a variety of issues, with those related to archival continuity having had particularly significant impact.
I hope that this paper will be useful for research on the Great East Japan Earthquake and libraries as well as for disaster prevention and mitigation in libraries.