カレントアウェアネス
No.256 2000.12.20
CA1355
LC,世界各国の図書館と協力しオンラインレファレンスサービスを試行
LCと世界各国の図書館等は共同して,世界中の人々が24時間いつでも利用できるオンラインレファレンスサービスの試行を始めた。Collaborative Digital Reference Service(共同デジタルレファレンスサービス:CDRS)と呼ばれるこのユニークな取り組みは,インターネットを通じて,いつでもどこでも,タイムリーで正確な情報と利用者を結びつける最初の協力体制になるものと期待が寄せられている。
CDRSは,1999年秋から稼動されている。2001年1月末までを3段階に分け,目下第2段階にある。詳細についてはLCのWebサイトで確認できるが,概況としては,レファレンスにおける質問の受理から回答までのワークフロー作成の段階から,実際にレファレンスを使った実践・実験の段階に入っている。
CDRSには,アメリカの公共図書館,大学図書館を中心に,カナダ国立図書館,オーストラリア国立図書館,EARL(イギリス公共図書館コンソーシアム)など16の組織が参加している。次の第3段階では,参加組織を39にまで増やす予定である。
どのような過程を経て回答されるかについて,今年6月29日,CDRSに寄せられた最初の質問を例に紹介すると,まず,ロンドンのEARL加盟館から,古代ビザンチン帝国の料理に関する質問が送られてきた。LCに置かれたCDRSセンターにある参加組織のデータベースによって,主題などをもとに相応しい機関を探し出した結果,カリフォルニアのサンタモニカ公共図書館に回付され,そこで回答作業が行われた。
CDRSが果たす役割として,地域ごとのコレクションや図書館員を相互に結びつけ,世界的な規模で図書館の多様性・可能性を広げることが期待されている。世界中のあらゆる地域の利用者が,アナログ・デジタル両方の情報資源にアクセスする際のサポートを図書館員からいつでも受けることができるようになるだろう。電子的な手段を使った協力体制は,21世紀において知識の海を航海するためには不可欠なものであり,利用者はこうしたサービスを通じて,最良のところから最良の回答を得ることができるだろう。
土屋 慎一(つちやしんいち)
Ref: LC, others test global online reference service. Adv Technol Libr 29(9) 1, 10, 2000
Library of Congress. Collaborative digital reference service. [http://www.loc.gov/rr/digiref/] (last access 2000.11.20)