カレントアウェアネス
No.234 1999.02.20
CA1240
OCLCとWLN,合併
1999年1月4日,北米の代表的書誌ユーティリティである,OCLC(Online Computer Library Center)とWLN(Western Library Network)の合併が発表された。両者は1998年4月から合併に向けた話し合いを始め,同年10月“Letter of Intent(同意書)”を公表した。
WLNは1977年北米ワシントン州立図書館を中心に発足し,98年末には米国北西部とカナダブリティッシュコロンビア州に550の参加館を数え,年間事業収入は450万ドル程である。一方,OCLCは1967年にオハイオ州のための地域ネットワークとして発足,その後拡大発展を続け,現在では世界65カ国に33,000館の参加館を数え,提供するサービスも多岐にわたり,年間事業収入は実に1億3千5百万ドルに上る。
合併の骨子は以下のようである。
1) WLNのユーザーはOCLCの各種サービスを利用することができる。WLNの総合目録は,OCLCのオンライン総合目録に統合される。
2) WLNのフルメンバーは,OCLCの一般会員となり,OCLC利用者評議会(OCLC Users Council)を通じて管理運営に参加する機会を得る。
3) WLNが提供してきた典拠コントロール,蔵書分析・評価(用語解説T29参照),遡及入力サービスはそのまま続けられる。さらにこれらのサービスは今後OCLCを通じてより広く提供されていく。
4) WLNのワシントン州レーシイ(Lacey)にあるオフィスはOCLC/WLNサービスセンターとして北西部諸州の図書館へのサービスの拠点となる。
5) WLNのスタッフはそのままOCLC/WLNサービスセンターのスタッフとして残る。
事業規模だけを見ると,OCLCがWLNを吸収合併したように見えるが,WLNの最高経営責任者マッカーシー(Paul MaCarthy)は,“双方のサービスのユーザーにとって意味のあることであり,この合併は真にwin-win(双方が勝つ)統合である”と述べている。利用料金,データベースの統合,WLN参加館のシステムとの接続など具体的な運営上の課題は現在検討中であるが,WLNユーザーには研修を含めバックアップ体制が保障される。
原田 圭子(はらだけいこ)
Ref: OCLC & WLN negotiate merger. Inf Retr & Libr Autom 34 (7) 3, 1998
OCLC, WLN merger will eliminate service duplication. Electr Inf Rep 19 (41) 5-6, 1998
牛崎進“北米の書誌ユーティリティの動向”『図書館ネットワークの現状と課題』日外アソシエーツ 1991. p. 86-101
OCLC/WLN Pacific Northwest Service Center. [http://www.wln.org/] (last access 1999.1.27)
OCLC and WLN Agree to merge. [http://www.oclc.org/oclc/press/19990104.htm] (last access 1999.1.27)