CA1237 – OCLCREUSEプロジェクト−AACR2とRAKのハーモナイゼイション− / 大幸直子

カレントアウェアネス
No.234 1999.02.20


CA1237

OCLC REUSEプロジェクト
−AACR2とRAKのハーモナイゼイション−

OCLCとSUBGottingen(ゲッチンゲン州立大学図書館)は,国際的な書誌データの互換性の強化を目的としたREUSEプロジェクトをSUBGottingenを中心館とするGBV/BRZN(中央・北ドイツ地域図書館ネットワーク)を加えて1996年1月から1997年3月の間行った。その最終レポートがOCLCのホームページに掲載されている。

プロジェクトの直接的な動機は,ドイツの図書館がOCLCのデータを目録分担作業と遡及変換にもっと簡単に利用できるようにしようというものである。ドイツの学術図書館は資料の50%以上を海外から入手しているが,このうち90%近くは英米の出版社のものであるという。さらにドイツの様々な地域総合目録中の何百万冊もの外国の出版物が未入力となっている。こうした現状を考えると,OCLCが提供する書誌データはドイツの図書館にとってきわめて魅力があるはずである。しかしUSMARCフォーマットとAACR2に基づく書誌データの利用はドイツでは,はなはだ低調である。USMARC・AACR2と,MAB2(ドイツ書誌交換フォーマット)・RAK(ドイツ目録規則)それぞれの相違により,米国議会図書館(LC)や英国全国書誌(BNB)やOCLCからデータを受けても大量の修正が必要だからである。

こうした書誌データの大量利用を阻害する最大の要因は根本的な両目録規則の違いにあり,USMARCとMABのフォーマットに互換性がないための影響は,比較すると小さい。

プロジェクトでは次の2点を課題とした。1) 同一文献に対するAACR2およびRAKによる書誌的記録を収録した2種類のデータセット(2万点収録)を作成し,両者を比較して違いを明らかにする。2) OCLCのデータをRAKのデータに変換する方法を検討する。なお,データセットは,以下のようにして作成された。SUBGottingenがRAKにより作成したレコードでGBVデータベースにあるものと,それと呼応するレコードを識別用マッチキーでOCLCデータベースから抽出したもの(SET1)。ハイデルベルグ大学図書館が80年代後半にOCLCから提供されたレコードを修正したものと,もとのOCLCレコード(SET2)。

調査結果からは目録規則や交換フォーマットだけでなく,そもそも書誌レコード単位をどのように定義するか,といった根本的な点でも両データセット間,および各データセット内で不統一や矛盾が明らかになり,課題の難しさが浮き彫りになった。なかでも,著者典拠情報の作成と取り扱い及び書誌階層の表現が大きな問題としてあげられている。例えば著者名については,RAKにこれまでなかった個人著者の生没年や職業のような識別語を付加できるようにすることや,やはりRAKになかった団体の下部としての会議を取り入れることなどAACR2にあわせる変更を提案している。団体名の差はかなり多岐にわたっていて一致や識別できる割合も低い。

国際的な書誌データ交換のためには将来的には,各国の標目を許容し,各図書館が使用している標目を維持できるような国際的な多言語典拠ファイルが必要となると述べている。

多巻物や書誌階層のあるデータの取り扱いは一部具体的な提案もなされたが,困難なケースが多く,reuse+というプロジェクトで引き続き調査される。

REUSEプロジェクトは,RAKをAACR2に調和させる,目録規則の改変を迫るという側面もあり,ドイツ学術図書館における英米資料の比率の高さ,分担目録作業と遡及変換の要求の強さを物語っている。

大幸 直子(おおさちなおこ)

Ref: OCLC-GBV-SUBGottingen REUSE : a contribution to the enhancement of international bibliographic compatibility. [http://www.oclc.org/oclc/cataloging/reuse_project/reuse_final_report.htm] (last access 1999.1.27)
Mittler, Elmar. REUSE: German libraries and OCLC create project to align international standards. [http://www.oclc.org/oclc/new/n218/intnl.htm] (last access 1999.1.27)