カレントアウェアネス
No.189 1995.05.20
CA1002
英・米国立図書館の協同目録計画
英語の出版物の多くは英語圏という国際市場を指向しており,大手の出版社には大西洋の両岸に拠点をもつものもある。書誌データとしては出版地,出版者以外のデータは全く同じはずという多くの出版物が,英・米それぞれの「国内出版物」として別々にMARC化されているのが現状である。
UKMARCとUSMARCは共に同じ記述目録法(AACR2)と分類法(DDC)を採用してきたが,データを交換して作業の重複を解消するためには,上記の実地作業を標準化することに加えて,以下の問題点があった。
- MARCフォーマット
- 主題索引法(件名)
- 典拠ファイル
MARCフォーマットについては,同一フィールド内でのサブフィールドの仕様や区切り記号等に相違点(例:個人名標目フィールド)があった。このほど英国図書館(BL)とLCは両MARCの互換性を向上させるため,新しいMARCフォーマットを検討する会議を開催すると発表した。その会議では新MARCフォーマットのアウトラインについてのペーパーが出されるが,MARCフォーマットの変更は甚大な影響をもたらすので,両館とも変更実施前には利用者と相談するとのことである。
BLは一時Precis(UKMARCで以前使用していた主題索引)の主題パッケージに米国議会図書館件名標目(LCSH)を含めるという方法でLCSHを入力していたが,その後このやり方は廃止し,LCSHは入力していなかった。しかし,BLは1995年早期にLCSHを再導入することを計画中とのことである。
また典拠ファイルについては,団体名の形式についてのAACR2の適用の相違と両典拠フォーマットの相違点を明らかにするため,1994年春にBLの目録コントロールの責任者が渡米した。個人名典拠については,既に1994年1月に最初のBL典拠レコードがLCの典拠ファイルに入力されており,引き続き入力が予定されている。既報(CA993)のように,LCはその固有名典拠ファイル(Name Authority File)を英米典拠ファイル(Anglo-American Authority File)に拡張し,さらにカナダ国立図書館にも参加を交渉中である。また,Australian Bibliographic Networkとも参加方を協議している。
福島寿男(ふくしまひさお)
Ref: LC and British Lib. to bridge format gap. Libr J 119 (18) 22, 1994
International relations: LC-British Library project streamlines cataloging. LC Inf Bull 53 (7) 125, 1994
LC Name Authority File expanded: becomes Anglo-American Authority File. LC Inf Bull 53 (15) 293, 1994