CA1093 – 英米で目録協力協定締結 / 原田圭子

カレントアウェアネス
No.207 1996.11.20


CA1093

英米で目録協力協定締結

将来,アメリカ議会図書館(LC)と英国図書館(BL)の書誌レコードが完全な互換性を持ち,一方の図書館が作成したレコードはもう一方の図書館がコピーする……そのような姿を予想させる協定が1996年2月LCとBLの間で交わされた。

英米国立図書館の共同目録計画はすでに報告されているが(CA1002参照),そのうち典拠ファイルに関する合意が,「目録方針の統一化に関する協定(Memorandum of Agreement on Convergence of Cataloguing Policy)」でなされたのである。この協定は約3年間に亘る両図書館の地道な論議と交渉の結果,締結された。

1993年,BLのパット・オッディ(Pat Oddy)がLCを訪れ,2つの機関の目録規則の適用の仕方,特に著者名典拠ファイルの作成基準を共通にして,書誌レコードや典拠レコードの国際交換を促進したいとの提案を行った。LCもその提案に応え,ワーキンググループを結成し,議論を重ねた。双方のメンバーが直接会うこともあったが,コミュニケーションの手段は,主に電子メールであった。

この協定によって,著者名典拠ファイルの維持,新しい著者名典拠作成に関してAACR2の適用基準である,CPCA(Cataloguing Policy on Convergence Agreement)が定められた。

BLではすでに,自館のシステムにアメリカのナショナル典拠ファイルを組み込み,新しい著者名典拠を作成するときに利用している。また共通典拠ファイルに新しい典拠を加えたり,今までの典拠を新しいルールに合った形に変更して加えている。将来は,BLの著者名典拠ファイル(BLNAL)は,徐々にLC/NACOの標目(CA427参照)にとって代わられる。

この新たな英米典拠ファイル(CA993参照)は,双方の典拠レコード作成の手間を減らし,大西洋の両側で作られている典拠ファイルの統一性をはかり,国際的な書誌情報流通を更に促進すると期待されている。

現在は,この典拠ファイルについての協定があるだけだが,MARCフォーマットや件名典拠ファイルの統一がなされたときには,冒頭に述べたような書誌レコードの互換性が保証されるだろう。

原田 圭子(はらだけいこ)

Ref: The spirit of cooperation : LC, British Library sign cataloging policy agreement. LC Inf Bull 55 (10) 204, 1996.