CA1234 – OPLIN−オハイオ州から世界へ− / 永村恭代

カレントアウェアネス
No.233 1999.01.20


CA1234

OPLIN−オハイオ州から世界へ−

オハイオ州の公共図書館ネットワークであるOPLIN(Ohio Public Library Information Network)は,OhioLINK(CA1165参照),INFOhio(学校図書館のネットワーク)のようなネットワークを求める公共図書館長達からの声で,1994年はじめに州図書館協会であるオハイオ図書館評議会により計画され,1995年6月に活動を始めた。計画策定に際しては,図書館職員,図書館理事,市民等の図書館に関与する集団全体の参加が重視された。OPLINの目的は,オハイオ州の全ての人々が世界中の電子的情報に公共図書館を通して年齢,居住地,貧富に関係なく,公平にアクセスできるようにすることである。

OPLINはWWW(http://www.oplin.lib.oh.us/)で世界のニュースからオハイオの気象情報,オハイオ州の紹介,データベースを使って宿題ができる子供向けコーナー,オハイオの図書館情報や世界の主要な図書館へのリンク集,ビジネスや健康の情報等を提供している。また,洪水などの災害発生時には,最新情報を1個所にまとめて提供する。さらに,以下のデータベースを見ることが出来る。

  • ArchivesUSA:米国内にある写本・文書類の情報。
  • EBSCO MasterFILE Fulltext 1500:学術雑誌を中心とした3,200タイトル以上の索引・抄録,1,500タイトルのフルテキスト。
  • Electric Library:新聞・雑誌・レファレンスブックのフルテキスト,地図,写真など。
  • HANNAH Online:1987年以降オハイオ州議会上下両院に提案された議案すべてのフルテキスト。
  • NetWellness:シンシナティ大学メディカルセンターの健康に関する情報。健康に関する質問に専門家が答える回答サービスも行っている。
  • NoveList:CARLが提供する57,000タイトルの小説データベース。オハイオ関係のものにはOPLIN独自の解題がつけられている。
  • SIRS Discoverer:450以上の新聞・雑誌から選んだ子供向けフルテキスト。
  • SIRS: Researcher:1,500以上の新聞・雑誌,政府刊行物から選ばれたフルテキスト。

このほか,オハイオ歴史学会が提供するデータベースなども利用可能である。これらのうち,一部のデータベース以外は,オハイオの公共図書館でしか見ることができない。しかし利用に際しては研修を受けた図書館員の適切な助言を受けることができる。さらに,一般家庭よりも大容量かつ高速度の通信回線を使用しているため,応答が速い。

OPLINの発展を促した背景はいくつか考えられる。図書館間で協力し合う伝統がOCLCのころからあること。図書館は州知事や議員と良好な関係を保っており,OhioLINK,INFOhioなどの図書館プロジェクトに潤沢な資金が供給されてきたこと。また,州も図書館員も生涯学習の機会充実に力を入れているが,OPLINはその有効な手段と考えられたことなどがある。

今後OPLINは,学術,学校,公共図書館で使用する情報の統合やデータベースの購入でOhioLINK,INFOhioとの協力を考えている。また,OPLINの購入しているデータベース,提供しているサービスを評価するため,ケント州立大学にElectronic Testing Centerを設立した。

永村 恭代(ながむらやすよ)

Ref: Mansfield, Meribah. Ohio's OPLIN: the future of library service? Libr J 122 (16) 44-47, 1997
Byerly, Greg. Ohio: library and information networks. Libr Hi Tech 14 (2-3) 245-254, 1996
OPLIN (last modified 1998.12.3) [http://www.oplin.lib.oh.us/](last access 1998.12.21)