ビル&メリンダ・ゲイツ財団からAPC助成を受けた3,268本の論文に関する分析結果とデータが公開される

2019年11月7日付けのThe Scholarly Kitchenブログ記事で、ビル&メリンダ・ゲイツ財団からAPC助成を受けた3,268本の論文について、同財団が公開した請求書データの分析結果が紹介されています。また、分析結果のデータも公開されています。

分析を行い、記事を執筆したのは出版コンサルティング会社Paloma & Associatesの研究者らや、カリフォルニア大学ロサンゼルス校の大学図書館員らです。執筆者らがビル&メリンダ・ゲイツ財団の知識・研究サービス部門の担当者に、同財団のオープンアクセス(OA)方針を受け、APC(論文処理加工料)の助成を受けた論文の請求書データの提供を求めたところ、同財団が承諾し、データを公開したことによって、今回の分析が行われました。

分析対象には2016年8月1日から2019年3月31日までの、3,268本の査読論文の請求書データが含まれていました。ブログ記事ではハイブリッドOAと完全OA誌の比率(当初はハイブリッドOAが多かったものの、徐々に完全OAが増え、2019年はほぼ同数に)や、OA誌のみを刊行する出版者と購読誌も刊行する出版者でのAPC金額の比較(後者の方が高く、増額傾向にある)、非営利出版と営利出版のAPC金額の比較(大きな差はなく、非営利で高いところも、営利で安いところもある)等が紹介されています。

また、分析の元になったビル&メリンダ・ゲイツ財団のデータ、今回の分析結果のデータの双方とも、すでに公開されています。

Guest Post — Transparency: What Can One Learn from a Trove of Invoices?(The Scholarly Kitchen、2019/11/7付け)
https://scholarlykitchen.sspnet.org/2019/11/07/guest-post-transparency-what-can-one-learn-from-a-trove-of-invoices/

Gates Open Access Publishing Charges Project Gates Open Access Publishing Charges Project(ゲイツ財団のデータ、2019/8/29付け)
https://doi.org/10.25346/S6/EEFYIP

Paloma and Associates Open Access Cost Transparency Project Replication Data Paloma and Associates Open Access Cost Transparency Project Replication Data(今回の分析結果データ、2019/10/31付け)
https://doi.org/10.25346/S6/VODY5G

参考:
ビル&メリンダ・ゲイツ財団、助成を行った研究の成果とデータセットをオープンアクセスにする方針を発表
Posted 2014年11月25日
https://current.ndl.go.jp/node/27494

ビル&メリンダ・ゲイツ財団のオープンアクセス方針が正式発効 助成を受けた論文はNature、Science等のトップジャーナルに掲載できない状態に
Posted 2017年1月17日
https://current.ndl.go.jp/node/33272

米国科学振興協会、ビル&メリンダ・ゲイツ財団の助成を受けた論文をオープンアクセスに
Posted 2017年2月16日
https://current.ndl.go.jp/node/33476

F1000とビル&メリンダ・ゲイツ財団、オープンアクセス出版のためのプラットフォーム“Gates Open Research”を2017年の第3四半期に開始
Posted 2017年3月27日
https://current.ndl.go.jp/node/33717

※情報源にURLを追記しました。(2019/11/13)