E963 - スイスの統合検索ツール“SwissBib”構築プロジェクトの状況

カレントアウェアネス-E

No.156 2009.08.19

 

 E963

スイスの統合検索ツール“SwissBib”構築プロジェクトの状況

 

 スイスでは,“SwissBib”という大学図書館と国立図書館の新たな統合検索ツールを構築するプロジェクトが,2008年から2011年までの4年間の予定で行われている。SwissBibのウェブサイトによると,プロジェクトの2008年の主要な目標であったソフトウェアの調達は実現され,要求に完璧に応えたソフトウェアを手に入れたという。プロジェクトの責任者であるウィーグナー氏(Tobias Viegener)は,“Research information”誌の2009年8-9月号に掲載された「スイスは次世代のメタカタログを構築する」(Switzerland builds next-generation metacatalogue)という記事の中で,スイス国内の図書館事情から派生する問題およびそれに対応するためのソフトウェアの調達などのプロジェクトの現況について記している。以下はその内容をまとめたものである。

 スイスには,4つの言語,5つのメタデータ規格,13種のOPAC,4つの統合検索プラットフォーム,そして800以上の図書館がある。2006年には,OPACの危機が指摘されるようになり,バーゼル大学図書館が全国規模の検索プラットフォームを検討し始めた。翌2007年には,“E-Lib.ch”という全国規模で電子図書館を構築するプロジェクトが立ち上がり,それと同時に,国内全ての大学図書館と国立図書館をカバーする次世代の統合検索ツール“SwissBib”の構想が生まれた。

 SwissBibの目的は,一貫したユーザーインターフェースで,スイス国内の学術情報を検索・利用できる統一的な入口を築くことにある。SwissBibが活用されるためには,地方や言語,コンテンツなどでフィルタリングできる機能を有し,また,異なる規則で作られた書誌データにも対応する必要がある。特に問題となるのが重複書誌であり,コピーカタロギングの実施割合が低いため,1,700万件の書誌レコードのうち300万件は重複書誌になる見込みである。

 これらの問題解決のために,OCLCの協力を得て,3つのコンポーネントが採用された。メタデータ管理ツールの“CBS(Central Bibliographic System)”,検索エンジンの“FAST”,エンドユーザーのインターフェースの“TouchPoint”である。CBSを使ったデータの前段階処理として,より情報量の多い他のレコードと結びつけることで重複を排除する処理や,フルテキスト,抄録,索引などを付加する処理などが行われる。検索エンジンとして使われるFAST ESP(Enterprise Search Platform)は,80の言語に対応し,索引の拡張や検索に有効な辞書機能も提供している。TouchPointは,OpenURL(CA1482参照)やSRUをサポートしており,タグ付けやパーソナルリストなどのWeb2.0(CA1624参照)の機能も有している。

 これら3つのコンポーネントを軸にして,2009年末までにSwissBibの最初のバージョンを形作り,さらに2010年からの2年間をプロジェクトの第2段階と位置づけ,機能の拡張等を実施する予定である。

Ref:
http://www.researchinformation.info/features/feature.php?feature_id=231
http://www.swissbib.org/wiki/index.php?title=Main_Page
http://www.swissbib.org/wiki/index.php?title=Project_stages
CA1482
CA1624