E931 – ALA,情報リテラシー向上のため「野球の殿堂」とタイアップ

カレントアウェアネス-E

No.151 2009.06.10

 

 E931

ALA,情報リテラシー向上のため「野球の殿堂」とタイアップ

 

 米国図書館協会(ALA)は,図書館の役割を紹介・啓蒙するアドヴォカシー・キャンペーン“@ your library”(CA1646参照)の一環として,全米野球殿堂博物館(National Baseball Hall of Fame and Museum)との共同プログラム“Step up to the Plate @ your library”(step up to the plate:打席に入る,マウンドに上る,といった意味)に取り組んでいる。図書館と野球という2つの米国の伝統(classic)がタイアップして,情報リテラシーの向上と,必須の情報源としての図書館の広報に努めよう,というのが趣旨である。

 2009年で4「シーズン」目となる“Step up to the Plate @ your library”では,「野球における多文化主義」をテーマにした雑学クイズコンテストを実施している。雑学クイズは,「10歳以下」「11歳から13歳」「14歳から17歳」「18歳以上」の4段階の難易度のものが準備されており,例えば,下記のような出題がある。

  • 日本人初の大リーガーは誰?(10歳以下)
  • 試合への出場経験のある全大リーガーを,名字のアルファベット順に並べると,一番上に来るのは誰?(11歳から13歳)
  • アフガニスタン出身の唯一の大リーガーは誰?(14歳から17歳)
  • 殿堂入り選手の1人バーニー・ドレイファスは,1865年,現在のドイツ・フライブルグに生まれたが,1865年当時フライブルグが属していたのは何という公国?(18歳以上)

 プログラムでは参加者に,クイズの解答を見つけるために図書館の情報リソースを利用することを求めており,利用した図書館の名前を解答用紙に記入する必要がある。これにより,図書館の認知度,テーマに関する知識,情報リテラシーの向上を目指している。ALAでは9月1日付けの解答まで受け付け,優勝者に全米野球殿堂博物館のあるニューヨーク州クーパーズタウンへの旅を授与する予定である。

 またプログラムでは,図書館向けに,このコンテストを広報するための無料ツール(ロゴマーク,関連イベント企画のためのツールキット等)を準備している。無料ツールを利用するには,プログラムのウェブサイトで参加登録をする必要があるが,毎年何千もの学校図書館や公共図書館が登録するという。コンテストへのエントリーが最も多かった図書館には,100ドル相当の書店ギフトカードが贈られる。

 この“Step up to the Plate @ your library”以外にも,ALA傘下のヤングアダルト図書館サービス協会(YALSA)はプロレス団体“WWE”の協力の下,ティーン向けの読書キャンペーンを実施している。またALAは読書推進ポスターに有名スポーツ選手や人気俳優を採用するなどもしており,誰もが知っているスポーツ,誰もが知っているスターが,図書館振興に一役買っている。

Ref:
http://www.ala.org/ala/issuesadvocacy/advocacy/publicawareness/campaign@yourlibrary/sponsorship/stepup/stepup.cfm
http://www.ala.org/ala/newspresscenter/news/pressreleases2009/may2009/stepupdiversity_campaign.cfm
http://www.ala.org/ala/mgrps/divs/yalsa/teenreading/wrmc/wrmc.cfm
http://www.alastore.ala.org/SearchResult.aspx?CategoryID=158
CA1646