カレントアウェアネス-E
No.137 2008.10.15
E842
米国民の3分の2が図書館利用カードを所有
米国図書館協会(ALA)は1987年から,毎年9月を図書館利用カード作成推進月間(Library Card Sign-up Month)と位置づけ,全国の公共・学校図書館とともに,図書館利用カードを持つことの重要性,とりわけ子どもの教育・発達にとって図書館が重要な役割を果たすことをアピールしている。
この図書館利用カード作成推進月間に先立つ2008年8月,調査会社Harris Interactive社が,米国の成人を対象とした図書館利用に関する調査を実施した。この調査は同社のモニターに対しオンラインで行われ,2,710名が回答している。回答に,米国の人口構成に従って重み付けを行って得た,主要な結果は以下のとおりである。
- 全体の68%が,図書館利用カードを所有している。
- 図書館利用カード所有者の割合を属性別に見ると,女性の方が男性より多く(73%対62%),年齢層では18~31歳(70%),人種ではヒスパニック系(72%),地域では中西部・西部(それぞれ72%,71%),学歴では大学・カレッジ卒業以上(ともに75%),支持政党では米国民主党(71%)が最も多かった。
- 図書館利用カード所有者のうち,76%が昨年1年間に図書館を来館利用した。また41%が,オンラインで利用した。来館利用の頻度としては,1年間に1~5回が35%で最も多かったが,26回以上という人も15%を占めた。
- 図書館利用カード所有者に,昨年1年間の図書館利用目的の上位2つを聞いた結果では,書籍(電子書籍,オーディオブックも含む)を借りる(39%),CD・ビデオ・コンピュータソフトを借りる(12%),コンピュータで利用可能なコンテンツを利用する(10%),参考図書類を利用する(9%),インターネットを利用する(8%)が上位を占めた。
- 図書館利用カード非所有者に聞いた,所有していない理由としては,図書館を利用しない(27%),図書館利用カードを必要としない・作りたくない(16%),書籍は買って済ませる(12%),インターネットで用が済む(9%),図書館を利用するのが不便(8%)が上位を占めた。
- 図書館への満足度調査では,図書館に大変/かなり満足している人が全体の59%,それなりに満足している人が22%であった。図書館利用カード所有者に限ると,大変/かなり満足,が68%,それなりに,が22%となる。非所有者でも,大変/かなり満足,が40%あった。
ALAはこの結果に対し,過去のALAの調査と以下のように比較している。
- 図書館利用カードの所有率は,1990年にALAが図書館利用カードに関する調査を開始してから最も高い数値で,直近の調査である2006年の数値から5%増加している。
- 図書館利用カード所有者の過去1年間の来館利用率は,2006年から10%増加している。オンライン利用率も23.6%から41%へと急増している。
そして,国家レベルで経済が落ち込みを見せている中,図書館が立ち直りに必要なツールを提供していると分析している。
Ref:
http://www.ala.org/librarycardsignup/
http://www.harrisinteractive.com/harris_poll/index.asp?PID=949
http://www.ala.org/ala/newspresscenter/news/pressreleases2008/September2008/ORSharris.cfm