E503 – 研究資金の援助と無償公開に関する世論調査(米国)

カレントアウェアネス-E

No.85 2006.06.21

 

 E503

研究資金の援助と無償公開に関する世論調査(米国)

 

 米国では2006年5月2日,連邦政府の資金援助による研究成果についてオープンアクセス化を求める法律案“Federal Research Public Access Act(FRPAA:S.2695)”が上院に提出され,現在審議が進められている。この法案は,1億ドル(約115億円)以上の外部委託研究費をもつ連邦政府機関から助成を受けた研究について,査読雑誌に掲載されたすべての研究論文を6か月以内にオンラインでオープンアクセス化しなければならない,というものである。この法案に対しては,米国大学・研究図書館協会(ACRL)や多くの図書館関係者などからは好意的な評価が寄せているが,出版業界や一部の学会からは反対の声があがっており,審議の行方が注目されている。

 そのような中,米国の市場調査会社 Harris Interactive は,研究資金の援助と成果の公開に関する世論調査の結果を「医療問題やその他のトピックについて連邦の資金援助を受けた研究成果のオンラインアクセスに関する報告書」(Online Access to Federally-Funded Reserch Findings on Health Issues and Other Topics)にまとめ,2006年5月31日に公開した。  

 この調査によると,連邦資金の援助を受けた研究成果について,医師に対して無償提供されるべきと,83パーセントの人々が考え,医師ばかりでなく,だれに対しても無償公開されるべきと,82パーセントの人々が答えたという。また,このような情報を簡単に入手できるようになれば,病気治療の可能性を発見するスピードが高まると考える人々は,62パーセントに上った。一方,何らかの資金援助をうけているにもかかわらず,科学雑誌にその成果を公表し,その結果,購読料を支払った者のみが利用できることには,53パーセントの人々が反対の考えを示した。

Ref:
http://cornyn.senate.gov/doc_archive/05-02-2006_COE06461_xml.pdf
http://www.infotoday.com/newsbreaks/nb060508-2.shtml
http://www.openaccessjapan.com/archives/2006/05/post_54.html
http://www.ala.org/Template.cfm?Section=News&template=/ContentManagement/ContentDisplay.cfm&ContentID=125401
http://www.earlham.edu/~peters/fos/2006_05_07_fosblogarchive.html#114727228384472074
http://www.harrisinteractive.com/harris_poll/index.asp?PID=671