カレントアウェアネス-E
No.46 2004.10.20
E254
愛国者法の一部規定に違憲判決(米国)
米国連邦地裁は9月29日,愛国者法(Patriot Act;CA1474,E110参照)第505条の規定は,合衆国憲法修正第1条に定める言論の自由を侵害するものであるとともに,不当な捜索を受けない権利を定めた合衆国憲法修正第4条に反するため,この規定を無効とするとの決定を下した。なお,司法省が判決を不服として控訴したこともあり,この判決に基づく命令の発効は90日間保留される。
愛国者法第505条は,テロに対抗するため,FBIに対して裁判所の命令なしに企業に顧客情報の提供を求める権限を与えるものであり,図書館の利用記録なども提供の対象となる恐れがあった。また,この規定に基づいて情報を提供した者は,その事実を口外してはならないとの規定もあり(E213参照),FBIの捜査対象となった者にこの規定が例外なく適用されることから,言論の自由を封じる規定であるとの批判もあった。
米国図書館協会(ALA)のブレイ=カジアーノ(Carol Brey-Casiano)会長は,「今回の判決は,図書館の利用記録を保護する活動において画期的な判決である。図書館が国民にとって自由に読書や調査をできる場であり続けるためには,国家の安全と個人の権利とのバランスをとるよう努めなければならない」と話している。
Ref:
http://www.internetnews.com/xSP/article.php/3415501
http://www.ala.org/Template.cfm?
http://www.libraryjournal.com/article/CA458087
http://www.aclu.org/SafeandFree/SafeandFree.cfm?ID=16603&c=282
CA1474
E110
E213