E736 – 学校図書館は「重要」=学校図書館を「測定」しよう!(米国)

カレントアウェアネス-E

No.120 2007.12.26

 

 E736

学校図書館は「重要」=学校図書館を「測定」しよう!(米国)

 

 米国図書館協会(ALA)の米国学校図書館員協会(AASL)は2007年から,学校図書館メディアプログラムについての長期的な調査“School Libraries Count!”を開始した。これは,学校図書館メディアプログラムの状況を全国的に理解すべく毎年実施し,データを集積していくものである。調査対象とする学校は,“K-12”と呼ばれる幼稚園から高等学校までのすべての公立・私立学校で,調査に参加するか否かは学校の判断に委ねている。このほど,この第1回目,2007年の調査結果が報告書として公表された。

 今回の調査には4,500を超える学校が回答した。回答校のうちおよそ4,000校が(チャータースクールや職業訓練校,完全にオンラインの学校などを除いた)通常の公立学校,およそ200校が(宗教系ではない)私立学校であった。調査票は,開館時間,スタッフ,スタッフの地位・資格,スタッフの活動,蔵書,コンピュータ,利用,支出の8つの項目,合計20の質問から成り立っており,報告書ではこれらのうち主な質問について,50パーセンタイル値(中央値)および75パーセンタイル値,95パーセンタイル値がグラフで示されるとともに,学校の種別による相違などが分析されている。パーセンタイルで示すことにより,「普通の」学校図書館メディアセンター(LMC)の値(=50パーセンタイル値)と,全体の上位5パーセント,25パーセントに位置する先進的なLMCの値(=95パーセンタイル値,75パーセンタイル値)とが一目で比較できるようになっている。

 たとえば,LMCの開館時間,学校図書館メディアスペシャリスト(LMS)の勤務時間,LMCのスタッフ全員を合計した勤務時間を見ると,各々の50パーセンタイル値は標準的な週当たり37時間,37時間,40時間となっており,週37時間フルタイムでLMSが1名勤務しているというのが,「普通の」LMCの姿だといえる。これに対し95パーセンタイル値では,各々45時間,50時間,115時間となっており,先進的なLMCでは標準的なLMCよりも1時間以上開館時間が長く,またLMS以外におよそ1.5名,スタッフが常駐しているという状況がうかがい知れる。また先進的なLMCと標準的なLMCとで開きが大きかった項目としては, LMSが利用指導に費やしている業務時間(95パーセンタイル値で週30時間,50パーセンタイル値では週12時間),同,予算管理に費やしている業務時間(95パーセンタイル値で週15時間,50パーセンタイル値では週2時間),雑誌の購読タイトル数(95パーセンタイル値で65誌,50パーセンタイル値では17誌),LMCのコンピュータの台数(95パーセンタイル値で64台,50パーセンタイル値で16台),週当たりの利用者数(95パーセンタイル値で1,000名,50パーセンタイル値で150名),年間予算(95パーセンタイル値で33,000ドル,50パーセンタイル値で7,000ドル)などが報告されている。

 なお2008年の第2回調査は,1月にフィラデルフィアで開催されるALA冬季大会から開始されることが発表されており, AASLでは今後毎年,経年変化も含めて調査結果を報告し,LMC・LMSのアドヴォカシー(CA1646参照)に努めていくとしている。

Ref:
http://www.ala.org/ala/aasl/slcsurvey.cfm
http://www.ala.org/ala/pressreleases2007/december2007/longitude07.htm
CA1646