E622 – AIRway: 機関リポジトリ収録文献への「風通し」を良くする試み

カレントアウェアネス-E

No.103 2007.03.28

 

 E622

AIRway: 機関リポジトリ収録文献への「風通し」を良くする試み

 

 北海道大学など国立大学5大学と国立情報学研究所が共同で,リンクリゾルバ(CA1482参照)を利用して,機関リポジトリ(E323参照)に収録された学術文献にナビゲーションするシステムの構築を進めている。このプロジェクト“AIRway(Access path to Institutional Resources via link resolvers)”はオープンアクセス(OA)電子ジャーナルのAriadne誌,D-Lib Magazine誌,OCLC Abstract誌で紹介されている。

 機関リポジトリ内の文献はこれまで,機関リポジトリのシステムに搭載されている検索機能,“Google Scholar”(CA1606参照)などの学術文献用の検索エンジン,“OAIster”(CA1513参照)などの機関リポジトリの統合検索を可能としているサイトから検索できた。AIRwayプロジェクトではさらに見つけやすくするため,大学や学術機関が契約している学術文献データベースからリンクリゾルバを経由して,機関リポジトリに収録された学術文献へのアクセスを目指している。これにより,利用者の所属機関が購読していない電子ジャーナルの文献も,AIRway参加機関の機関リポジトリで公開されていれば,学術文献データベースからリンクリゾルバを経由してOAの文献にたどり着くことが可能となる。なお具体的な仕組みは,D-Lib Magazine.13(3/4)で詳解されている。

  本プロジェクトのウェブサイトによると,3月24日現在,AIRwayによるリンク解決対象とされている機関リポジトリは,北海道大学の“HUSCAP”や英国クランフィールド大学“Cranfield QUEprints”など4機関にとどまる。だが機関リポジトリ運営機関やリンクリゾルバ開発者向けのウェブサイトを通じて,システム連携に必要となる仕様の概略を公開し,協力機関を募っている。またAIRwayが収集したメタデータを,リンクリゾルバ内部で蓄積するシステムの構築も目ざしている。

 このような取り組みを通じて,機関リポジトリ収録文献の検索・利用・引用が拡大し,機関リポジトリそのものの認知度の向上や,登録文献数の拡大につながることが期待される。

Ref:
http://airway.lib.hokudai.ac.jp/index_ja.html
http://www.dlib.org/dlib/march07/sugita/03sugita.html
https://dspace.gla.ac.uk/bitstream/1905/659/1/sugita-hellman.pdf
http://www5.oclc.org/downloads/design/abstracts/03192007/AIRWAY.htm
http://airway.lib.hokudai.ac.jp/announcement_ja.html
http://www.ariadne.ac.uk/issue49/suzuki-sugita/
http://blog.livedoor.jp/x822gaz/archives/51382873.html
http://drf.lib.hokudai.ac.jp/drf/index.php?plugin=attach&refer=DRF1&openfile=hokudai.pdf
CA1482
CA1513
CA1606
E323