カレントアウェアネス-E
No.104 2007.04.11
E635
読書振興のための読書実態調査(韓国)
韓国の読書振興政策を担っている国立中央図書館は2006年9月,「国民読書実態調査」を行った。これは21世紀の知識基盤社会の発展のための,望ましい読書振興政策の樹立に必要な基礎資料を収集することを目的としており,2004年以来2年ぶりに行われたものである。
この調査は,18歳以上の成人1,000人と,小学校4〜6年生,中学生,高校生合わせて3,000人の学生を対象に行われた。読書率に関する質問では,「昨年1年間に1冊以上の一般図書を読んだことがある」と回答した成人は75.9%,「前学期に1冊以上の一般図書を読んだことがある」と回答した学生は89.6%で,前回の調査結果(それぞれ76.3%,89.0%)から大きくは変わっていない。ただし,1994年の86.8%,97.6%からは緩やかに減少傾向にある。また読書量に関する質問では,成人が年間11.9冊,学生が1学期に14.0冊と,前回に比べてそれぞれ0.9冊,2.2冊増加している。特に小学生の読書冊数は4.6冊も増加しており,これは「朝の10分間読書」運動などの施策が功を奏した結果であるとされている。とはいえ,読書時間は54分(学生全体では45分)と,10年前よりも20%近く減少している。成人は平日37分,週末34分と,これまでと大きな変化はなかった。
このほか,マンガ,雑誌の読書率・読書量,書籍以外のメディアの利用時間,余暇全体の中で読書が占める比重,よく読む図書のジャンル,図書購入費・購入冊数,書店・インターネット書店・レンタル店の利用実態,読書関連のインターネットサービス(図書情報の検索,本文の検索,電子ブック)の利用実態,読書目的,読書場所,読書を阻害する要因,家庭・社会・学校での読書実態,公共図書館の利用実態など,多様な項目について質問がなされている。このうち,図書館に関する質問では,昨年1年間に公共図書館を利用したことがあると回答した成人が31.2%と,1995年の13.2%,2004年の24.7%から着実に増加している。もっとも,図書館利用の満足度は47.1%,蔵書の満足度は50.3%,また読書を奨励するために必要な施策についての質問に対する回答の第1位が図書館の拡充で35.0%など,図書館のさらなる向上も求められているようである。
Ref:
http://www.nl.go.kr/FRBR/2006_book.hwp
http://www.nl.go.kr/notice/board_info/view.php?no=408
舘野■. 2006年,国民読書実態調査. 出版ニュース. 2007.3/下, p.26 (※■は析の下に日)
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