E620 – 2006年米国図書館界の10大ニュース

カレントアウェアネス-E

No.102 2007.03.14

 

 E620

2006年米国図書館界の10大ニュース

 

 American Libraries誌の2006年12月号に,2006年における米国図書館界10大ニュースが掲載されている。

  • (1) ニューオーリンズ復興に貢献(E521E597参照)
  • (2) 図書館サービス法制定から50年(CA1171参照)
  • (3) 愛国者法の口外禁止規定,解除される(E428E462参照)
  • (4) 子どものSNS利用を制限するDOPA法案,下院を通過(CA1618参照)
  • (5) 学校図書館の“65% solution”をめぐる動向(E531参照)
  • (6) OCLCの積極的な活動(E486E588参照)
  • (7) ネットワークの中立性をめぐる法制化の動きに図書館界も関与
  • (8) 環境保護局図書館ネットワークの危機(E609参照)
  • (9) Google,Book Searchの拡充で情報業界を席巻(E543参照)
  • (10) 初めての“Librarians of Color”合同会議開催

 本誌で取り上げていないものを挙げると,(7)はネットワークの通信量が多い利用者に対し通信料を多く支払うよう(=通信料を多く支払った利用者に対し優先的にネットワーク通信帯域を割り当てるよう)求める通信業界に対し,支払う金額に関わらず誰もが平等にネットワークを利用できるようにすべきという「ネットワークの中立性」の原則を堅持するよう求める法制化の動きがあり,GoogleやYahoo!などとともに,図書館界もこれに賛同する活動を行った件である。また(10)は,ネイティブ・アメリカン,アフリカ系,ラテン系など,5つの少数派人種に属する図書館員のグループ(いずれもALA内のグループ)による合同会議が初めて開催されたことについて,のものである。

 これらのうち(3)〜(5),(7),(8)は,アドヴォカシーにより図書館に不利な法制化・政策を阻止しようとした点で共通している。米国図書館協会(ALA)の年次大会の開催や2,000万ドル(約23.5億円)を超える義援金の提供などが大きくマスメディアで報じられ,高く評価された(1)も含め,図書館界から政治や社会に積極的に働きかける活動が目立つ1年であったと総括することができよう。

Ref:
Top 10 Library Stories of 2006. American Libraries. 37(11), 2006, 33-37.
E428
E462
E486
E521
E531
E543
E588
E597
E609
CA1171
CA1618