カレントアウェアネス-E
No.83 2006.05.24
E487
分譲マンションで電子図書館が流行(韓国)
韓国では,住宅建設基準などに関する規定(大統領令19263号)により,300世帯以上の共同住宅を建設する場合には,図書館および読書振興法施行令(大統領令18312号)で規定する「文庫」,すなわち,33平方メートル以上の建物,6席以上の閲覧席,1千冊以上の資料を有する読書施設を事業者が設置しなければならないと定められている。また同様に,300人以上の従業員を擁する事業所や,6階建て以上の建物についても,各自治体は文庫の設置を積極的に勧奨しなければならないことになっている。
首都ソウルの周辺地域を管轄する自治体・京畿道が2005年10月に共同住宅を対象に行った調査によれば,この規定にもかかわらず,資料不足で利用者がほとんどいない文庫や,会議室や倉庫代わりに使われている文庫などが大部分であったという。この状況を憂慮した京畿道は,現在の規定を変えてより規模の大きい子ども図書館を設立するよう義務付けてほしいと行政機関に要望している。
一方で,新しく分譲されるマンションにおいては,文庫はもとより電子図書館まで備えることが流行しているという。E404で紹介したとおり,韓国では電子本業者の成長が著しいが,各社が複数の建設業者とタイアップして,入居者に無料でPCや携帯電話,携帯端末(PDA)などに電子本を貸し出すサービスを展開している。多いところでは合計10万冊の電子本が利用でき,定期的に入れ替えもなされるという。読んだ電子本の感想を入居者同士で交わす機能を提供しているシステムもあり,コミュニティ形成への貢献も期待されている。
Ref:
http://www.klaw.go.kr/CNT2/Easy/MCNT2EasyLawService.jsp?s_lawmst=73521
http://www.klaw.go.kr/CNT2/Easy/MCNT2EasyLawService.jsp?s_lawmst=60554
http://www.kiib.co.kr/news/session_view.asp?tbl_str=news_01&news_num=51755
http://www.etnews.co.kr/news/detail.html?id=200512080024
http://www.kmib.co.kr/html/kmview/2006/0504/092017805211151100.html
http://inews.mk.co.kr/CMS/economy/all/real/mk/7356724_2818.php
E404