E404 – 韓国の電子本市場

カレントアウェアネス-E

No.70 2005.11.16

 

 E404

韓国の電子本市場

 

 韓国では,電子本市場が急成長している。韓国電子本コンソーシアムによると,2005年度の発行数は約22万6千冊,500億ウォン(約44億円)規模に達する見通しであるという。

 すでに5万冊の電子本を発行している最大手のブックトピア社には,700を越える出版社のほか,作家や,検索ポータルサイト大手のネイバー(NAVER)の運営会社などが株主として出資している。音声・動画なども見られる「マルチメディアeBook」,辞書や下線・蛍光ペン,メモ,構造検索などの機能を備えた「XML eBook」,PDFフォーマットの「PDF eBook」など,複数の形態の電子本を個人向けに販売するとともに,オンラインで貸出・返却できる電子図書館機能を図書館向けに提供している。この9月には,PCや携帯用端末(PDA)向けに提供してきた各種の「eBook」を,携帯電話でも利用できるようにした「U-Book」(Uはユビキタスの略)サービスを開始するなど,電子本市場を牽引する存在である。

 ブックトピア社はまた,2004年7月からネイバーと提携した本文検索サービスを行っている。各出版社の紙の出版物をブックトピアが加工し,ブックトピア社およびネイバーのサイトから検索・プレビューできるという,米Amazon.com社の「Search Inside!」(E146参照)同様のサービスである。特徴的なのは,出版社および著者との協議によって,プレビュー範囲を本ごとに調節できることと,新刊の試写会と題したイベントが行われており,イベント期間中は対象となった書籍の全文を見ることができることである。現在は約4万冊,1,000万ページが検索対象となっている。

 このようなブックトピア=ネイバーの動きに対抗する形で,検索ポータルサイト・エムパス(empas)が業界2位のバロブック社など他の電子本製作・販売業者と組んで,10月から1万4千冊の本文検索サービスを開始した。さらに別の検索ポータルサイト・ダウム(Daum)も早期にサービスを立ち上げる旨を表明するなど,電子本をめぐって各々の業界での競争が激化している。

Ref:
http://inews.mk.co.kr/CMS/headLine02/headline/6970830_3645.php
http://www.booktopia.com/booktopia/Help/Main.asp?help=ebook
http://www.booktopia.com/booktopia/help/help_ubook.asp
http://www.inews24.com/php/news_view.php?g_serial=176094
http://book.naver.com/guide/guide4.php
E146