カレントアウェアネス-E
No.94 2006.11.9
E561
本を読むことが困難な子どもたちへのサービス,拡大中!(オランダ)
近年,ディスレクシア,注意欠陥・多動性障害(AD/HD),視覚障害ほか身体の障害,精神の障害や母語が地域で少数派の言語であるなどの理由によって本を読むことが困難な子どもたちに対し,各国の図書館界が注目するようになってきている。中でも,オランダは先進的な取り組みを行っている。
オランダでは2002年,ハーレム(Haarlem)市立図書館が,ディスレクシアをはじめとする本を読むことが困難な子どもたちのための「本を気軽に読める読書空間」を開設した。この読書空間には本,CD,DVDのほか,コンピュータゲームやその他の教育用資料,雑誌,冊子など,各障害に対して効果があるとされるさまざまな種類の資料が取り揃えられているほか,くつろいで話を聞いたり,コンピュータを利用できるような設備が備わっている。また有料ではあるが,子どもにどのような本を薦めるべきか,どのように読み聞かせればよいかな
ど,親や教師に対しての専門的なアドバイスを行うプログラムも行われている。このようなサービスが2002年以後,オランダ国内の多くの図書館で展開されており,設置母体である自治体の注目も集めている。
2006年3月,ハーレム市立図書館は子ども,青少年,親,教師,図書館員など,このサービスに関心を持っている各関係者に対する資料を掲載し,サービスを紹介するウェブサイトを立ち上げた。さらに2006年9月には,オランダ公共図書館協会(Vereniging Openbare Bibliotheken)とオランダ図書館現代化機構(Procesbureau Bibliotheekvernieuwing)の支援によって,このウェブサイトは本を読むことが困難な子どもたちへのサービスに関する国内の情報センターとして拡充された。コンテンツはすべてオランダ語であるが,読書や学習のヒントや優良事例の紹介,特にディスレクシアについての説明資料やリンク集,図書館サービスの重要性を示すパンフレットや資料,よく利用される資料のリスト,FAQなど,このサイトを訪れればあらゆる情報が入手できるようになっている。
Ref:
http://makkelijklezenplein.nl/
http://www.sitegenerator.bibliotheek.nl/haarlem/faq/overig45.asp
http://www.debibliotheken.nl/content.jsp?objectid=6613
http://www.debibliotheken.nl/content.jsp?objectid=8545
http://dutchlibraries.web-log.nl/dutchlibraries/2006/10/easy_reading_pl.html