カレントアウェアネス-E
No.79 2006.03.22
E465
アジアの発展途上国の著作権法と知識へのアクセスの保障状況
発展途上国にとって,知識へのアクセス(A2K;E378参照)は発展に不可欠な要素である。世界115か国250団体超の横断的組織である国際消費者機構(Consumers International)は,2月20日,ブータン,カンボジア,インドネシアなどアジアの発展途上国11か国の著作権法がA2Kをどの程度保障しているかを調査したレポートを発表した。
レポートによれば,ベルヌ条約やTRIPS協定など国際条約では,教育用資料へのアクセスを認める権利制限・例外規定が柔軟に盛り込まれているにもかかわらず,これら発展途上国の著作権法にはそうしたフレキシビリティが十分盛り込まれていないことが判明したという。例えば,条約で認められている教育目的の利用を必要以上に制限したり,条約が要請する期間よりも長い保護期間を設定したりしている。その結果,発展途上国における教育用資料へのアクセス費用が,先進国に比べて不当に高くなっていると指摘している。
国際消費者機構は,こうした状況の背景に世界知的所有権機関(WIPO)の不十分な指導が存在すると見ており,WIPOに対してそうした指導の見直しと発展途上国のニーズを汲んだ開発アジェンダ(CA1562参照)策定への真剣な取り組みを求めている。
Ref:
http://www.ip-watch.org/weblog/index.php?p=221
http://www.consumersinternational.org/Shared_ASP_Files/UploadedFiles
http://lists.essential.org/pipermail/a2k/2006-February/000985.html
http://www.wipo.int/meetings/en/details.jsp?meeting_id=9643
http://www.rieti.go.jp/jp/events/bbl/bbl060207.pdf
E378
CA1562