カレントアウェアネス-E
No.76 2006.02.01
E441
アロヨ大統領,組み立て式図書館建設を指令(フィリピン)
2005年10月24日,フィリピンのアロヨ大統領が「組み立て式図書館計画」を発表し,3億5,800万フィリピンペソ(約8億円)の予算で全国に組み立て式図書館を1,000館作るよう,公共事業道路省に指令を出した。
フィリピンでは児童・生徒数の増加に教育施設が追いついておらず,またそのための予算も不足していた。2004年までは,日本からのODA無償資金を元に初等・中等学校の建設を行ってきたが,これに続き,これまで見落とされてきた図書館の拡充に着手するものである。1949年の地方図書館法では,1,000館の図書館を建設するよう規定されているが,法施行以後建設された公共図書館は州・市・バランガイ(町の下位レベルに当たる最小行政単位)合計でも500館に満たなかった。
組み立て式図書館の資材提供・建設は,組み立て式の鉄橋をフィリピン政府に独占供給している英Maybe & Johnson社が請け負う。同社の計画では,1館当たりの建設費として約20万フィリピンペソ(約45万円),図書館資料費とコンピュータ等の設備費として約13万フィリピンペソ(約29万円)かかると試算されている。このほか,政府は国営の石油企業に対し,組み立て式図書館に太陽電池を取り付けてもらうよう計画しているという。
もっとも,この組み立て式図書館1,000館が完成しても,1994年の共和国法第7743号(フィリピン全国に議会,市,町の図書館およびバランガイの読書センターを設け,またそのために必要な基金を充当する法律)で規定されている状況には遠く及ばない。今後の図書館拡充政策の推移も注目される。
Ref:
http://news.inq7.net/nation/index.php?index=1&story_id=54433
http://www.gov.ph/news/?i=13711
http://filipinolibrarian.blogspot.com/2005/10
http://www.deped.gov.ph/about_deped/organizationlinks.asp?id=17
http://www.chanrobles.com/republicactno7743.htm