カレントアウェアネス-E
No.76 2006.02.01
E442
EU新規加盟国国立図書館の研究開発体制
2004年にEUに加盟した10か国(注)が欧州図書館(TEL)の全面的なパートナー(Full Participants;CA1556参照)になるための支援を行うTEL-ME-MORプロジェクト(E312参照)は,1月17日付けのプレスリリースで,報告書『EU新規加盟国の国立図書館における研究開発活動と必要条件の分析』を刊行したと発表した。
この調査は,10か国の国立図書館を対象に,文化・科学資源の保存とアクセスの確保などに焦点を当てて,各館の研究活動能力の現状と,欧州委員会が推進する情報社会技術(IST)計画への応募条件を満たしているかを明らかにすることを目的としたものであった。その結果,研究開発活動への取組み体制は図書館によって大きな差−例えば保存の面では,資料のデジタル化が一定程度進んでいるのは10館のうち4館にとどまっている−があり,知識・費用・組織やデジタル資料の管理ノウハウなどの不足といった点に課題があること,多くの図書館は国家の調査研究の基盤となり得るまでには整備が進んでいないことなどが明らかになった。報告書では,これらをはじめとする11項目の結論を,国立図書館自体の能力,各国の文化遺産政策・調査研究政策および欧州の文化遺産政策・調査研究政策の3つのカテゴリに分類してまとめている。
なお,10か国のうちエストニア,ラトビア両国の国立図書館は,1月1日付でTELの全面的なパートナーとなった。これにより, TELの全面的なパートナーはサービス開始当初の9国立図書館から15国立図書館に拡大した。両国と既に加盟しているスロベニアを除く対象国7か国の国立図書館は,2007年2月までにTELの全面的なパートナーになる見込みである。
(注)チェコ,キプロス,エストニア,ハンガリー,ラトビア,リトアニア,マルタ,ポーランド,スロバキアおよびスロベニアの10か国を指す。
Ref:
http://www.telmemor.net/news.php
http://telmemor.net/docs/D1.1_Final%20analysis.pdf
CA1556
E312