E1169 – 2010~2011年の図書館システムの市場動向は?(米国)

カレントアウェアネス-E

No.192 2011.04.28

 

 E1169

2010~2011年の図書館システムの市場動向は?(米国)

 

 米国のLibrary Journal誌が2011年4月1日号でヴァンダービルト大学のブリーディング(Marshall Breeding)氏による米国内の図書館システム市場調査レポート“Automation Marketplace”の2010-2011年版を発表した。これは図書館における主要ツールの新たな展開について紹介したシリーズ“LJ Explores the Big Tools”の一編で,他に5編の記事がある。

 レポートによれば,前年並みの市場規模だった2010年の注目すべきトピックは,新しいコンセプトにもとづくクラウド型図書館システム(CA1721参照)と,引き続き市場での存在感を増しているディスカバリ・インタフェース(CA1727参照)の2つで,どちらの領域においてもベンダ間の競争が激しくなっているという。以下,この2点に焦点を当ててレポートの内容を紹介する。

 Ex Libris社のAlma,OCLCのWeb-scale Management ServicesというSaaS(Software as a Service)型システムが登場し,SirsiDynix社のSymphonyやInnovative Interfaces社のMillenniumといった従来型図書館システムに挑んでいるものの,今のところこれらの導入館は少数に留まっている段階だと著者は評価している。AlmaはEx Libris社のURM(Unified Resource Management)というコンセプトに基づく製品で,紙媒体と電子媒体の資料を統合的に扱うことができるのが特徴であるという。現在プリンストン大学等いくつかの大学図書館と協力して開発中で,2012年はじめのリリースが予定されている。

 オープンソース図書館システムの開発プロジェクトのKuali OLEがアンドリュー・メロン財団の資金援助を受けて進行中である。2010年は,ニューヨーク州のPioneer Library System等のコンソーシアムがKohaやEvergreenといったオープンソース図書館システムへ移行し,商用システムベンダ,特にSirsiDynix社とInnovative Interfaces社が大きな打撃を受けたようである。それに対して,商用システム側は図書館システムのAPIを開発して導入館にデータ活用の自由度を提供するといった対策を取っているという。

 ディスカバリ・インタフェースの市場にはEx Libris社のPrimo Central,EBSCO社のEBSCO Discovery Service,OCLCのWorldCat Local,Serials Solutions社のSummonといった製品が存在する。ベンダは,図書館が契約している電子情報を検索可能コンテンツ(検索インデクス)に含めるために,それぞれ出版社等と提携してコンテンツの増加に力を入れているという。結果,ベンダ間の競争は激しくなり,例えばEBSCO社はEBSCOhostのコンテンツをEx Libris社のPrimo Centralへ提供することを中止した。一方,Innovative Interfaces社はこのようなインデクス競争の流れに逆らい,コンテンツプロバイダのAPIを利用して検索するEncore Synergyという製品をリリースしている。

 全体的な傾向として,ディスカバリ・インタフェースに限らずクラウドで動作するSaaS型システムが増加し,移行が進んできているという。例えば,SirsiDynix社の図書館システムSymphonyとHorizonのSaaS版は700館以上の導入実績があり,LibLime社がKohaを提供している顧客の90%がSaaS版を選択しているとのことである。

Ref:
http://www.libraryjournal.com/lj/ljinprintcurrentissue/889533-403/the_new_frontier.html.csp
CA1721
CA1727
E1003