米・ITHAKA S+R、デジタル保存・キュレーションシステムの有効性や耐久性に関する調査結果を公開

2022年7月19日、米国のITHAKA S+Rが、デジタル保存・キュレーションシステムの有効性や耐久性に関する調査結果“The Effectiveness and Durability of Digital Preservation and Curation Systems”を公開しました。

米国博物館・図書館サービス機構(IMLS)からの支援を受けて、全体的な概況や、APTrust、MetaArchive、Preservicaをはじめとした8つのシステム等について、18か月にわたる調査を行ったと述べています。

主な結果として、以下をはじめとした内容が挙げられています。

・保存システムにおいて「保存」(preservation)という単語は本来の意味をほとんど喪失しており、ワークフローの合理化等、保存作業の一部にのみ対応しているものが多い。
・全てがそろった保存システムは存在しないため、デジタル保存は完全な外部委託は行えない。
・遺産関係機関は、市場競争の文脈で保存システムの選択を行っている。
・非営利の保存プラットフォームは、限られた資本や比較的複雑な構造のガバナンスにより、リスクにさらされている。
・営利組織のシステムプロバイダーへの依存度増加は、持続可能性や技術的・財務的透明性の観点からリスクがある。
・デジタル保存に関する活動を行っていない遺産関係機関が多い。

Supporting the Future Discovery and Use of Digital Content(ITHAKA S+R, 2022/7/19)
https://sr.ithaka.org/blog/supporting-the-future-discovery-and-use-of-digital-content/

The Effectiveness and Durability of Digital Preservation and Curation Systems(ITHAKA S+R, 2022/7/19)
https://doi.org/10.18665/sr.316990

参考:
米・Ithaka S+R、デジタル保存・キュレーションシステムの開発・展開・維持状況等に関する18か月の研究プロジェクトを開始
Posted 2020年8月24日
https://current.ndl.go.jp/node/41817