2020年8月19日、米国のIthaka S+Rは、米国博物館・図書館サービス機構(IMLS)による助成を活用して、デジタル保存・キュレーションシステムの開発・展開・維持状況等に関する18か月の研究プロジェクトを開始することを発表しました。
デジタル形式のリソース生産や共有の潮流が加速しているため、図書館等においてデジタルコンテンツのキュレーション・発見・長期管理を支えるプラットフォームへの依存度が高まっている一方で、これらのシステムやツールについては持続可能性に関する課題も指摘されています。Ithaka S+Rの研究プロジェクトでは、コミュニティベースで提供されるこうしたプラットフォーム事業の検証や、営利企業の製品における戦略との比較・検討などが行われます。また、デジタル保存・キュレーションを提供するシステムは、迅速性・包括性・多様なユーザーニーズとの間でバランスをとる必要があるという背景の下、包括性・アクセシブルの具体的な内容に関する検討も行われます。
なお、同研究プロジェクトにおける「デジタル保存・キュレーションシステム」は、Dryad、EPrints、figshare、HathiTrust、DPLA、Portico、Zenodoなど、デジタル保存・キュレーション作業のために文化遺産組織で使用されているツールやサービスとして定義されています。各ツールやサービスのケーススタディーと、これによるコミュニティベース・商業ベースそれぞれの事業の分析や得られた教訓を通して、長期的な維持・開発を実現する持続可能なモデルの提案等を行うことを目標に掲げています。
Exploring the Effectiveness and Durability of Digital Preservation and Curation Services(Ithaka S+R,2020/8/19)
https://sr.ithaka.org/blog/exploring-the-effectiveness-and-durability-of-digital-preservation-and-curation-services/
LG-246365-OLS-20(IMLS)
https://www.imls.gov/grants/awarded/lg-246365-ols-20
参考:
米・Ithaka S+R、専門家へのインタビューをもとにデジタル保存の現状と課題をまとめた報告書を公開
Posted 2018年10月31日
https://current.ndl.go.jp/node/36949
米国の博物館・図書館サービス機構(IMLS)、国内の図書館活動支援のために総額約1,820万ドルの助成を実施
Posted 2020年8月4日
https://current.ndl.go.jp/node/41659