2021年6月22日、米・Ithaka S+Rは、学術誌のビッグディール契約のキャンセルが研究者にもたらす影響を調査した報告書“What’s the Big Deal?: How Researchers Are Navigating Changes to Journal Access”を公開しました。
今回の調査は、ビッグディール契約に関する戦略的決定を行っている米国の大学図書館10館、ドイツの大学図書館1館との提携により進められました。ビッグディール契約のキャンセルによる影響を受ける可能性が高い89人の研究者にインタビューを行っており、報告書ではその結果や、ビッグディール契約のキャンセルに際し図書館が特に注意すべきポイント等が示されています。
Ithaka S+Rによる同日付けのブログ記事“New Report: What’s the Big Deal?: How Researchers Are Navigating Changes to Journal Access”でも、本報告書の紹介が行われています。注目すべき調査結果として、ビッグディール契約のキャンセルにより一連の学術誌が利用できなくなった場合でも、研究者への悪影響は短期的にはほぼ見られないということを挙げています。
また、Ithaka S+Rによる同日付けのブログ記事“Cancelling the Big Deal Project Spotlight”では、本調査の提携先機関であったドイツ・ベルリン自由大学図書館へのインタビューを掲載しています。
What’s the Big Deal?: How Researchers Are Navigating Changes to Journal Access(Ithaka S+R, 2021/6/22)
https://doi.org/10.18665/sr.315570
New Report: What’s the Big Deal?: How Researchers Are Navigating Changes to Journal Access (Ithaka S+R, 2021/6/22)
https://sr.ithaka.org/blog/new-report-whats-the-big-deal/
Cancelling the Big Deal Project Spotlight: An Interview with Freie Universität Berlin with contributions from Dominik Hagel, Franziska Harnisch, Mario Kowalak, and Cosima Wagner(Ithaka S+R, 2021/6/22)
https://sr.ithaka.org/blog/cancelling-the-big-deal-project-spotlight/
参考:
米・Ithaka S+R、研究図書館11館とともにビッグディール契約中止による利用者や図書館への影響関係の調査プロジェクトを開始
Posted 2020年5月29日
https://current.ndl.go.jp/node/41070
Elsevier社のアクセス制限がドイツの研究者の出版行動と引用行動に与えた影響(文献紹介)
Posted 2021年6月3日
https://current.ndl.go.jp/node/44132
ビッグディール契約中止の経緯と対応、中止の影響:フロリダ州立大学の場合(記事紹介)
Posted 2020年2月26日
https://current.ndl.go.jp/node/40325
ビッグディール契約の経済的非効率性:カナダの大学における学術誌の利用パターン分析(文献紹介)
Posted 2021年3月22日
https://current.ndl.go.jp/node/43610
琉球大学、Elsevier社発行電子ジャーナルの契約をパッケージ契約から個別タイトルごとの契約へ変更:契約外タイトルの論文は「トランザクション形式」の利用へ変更
Posted 2021年2月16日
https://current.ndl.go.jp/node/43287