米・Ithaka S+R、2020年5月から複数の大学図書館等と提携してビッグディール契約中止による利用者や図書館への影響関係を調査するプロジェクトを実施

2020年3月4日、米・Ithaka S+Rは、2020年5月から複数の大学図書館等と提携してビッグディール契約中止による利用者や図書館への影響関係を調査するプロジェクトを開始予定であることを発表しました。

電子ジャーナルのビッグディール契約による支出の図書館資料費に占める割合が増大し、購読料も上昇していることから、近年契約を中止する機関が増加しています。2020年もこうした傾向は継続すると予想されますが、ビッグディール契約の中止は、情報資源を巡る環境が急速に変化する中で、図書館利用者の学術資料へのアクセス環境をどのようにして維持できるか、という問題を提起しています。

Ithaka S+Rはこのような問題を背景に、2020年5月からビッグディール契約中止が図書館利用者・コンテンツへのアクセス戦略・アクセス提供者としての図書館の役割認識に与える影響関係について、複数の大学図書館等と提携して調査を実施することを表明しています。プロジェクト参加館は、契約中止により自機関内の影響を受ける研究者グループや分野を特定し、複数人から影響関係に関するインタビューを実施します。Ithaka S+Rは参加館全体の調査結果のとりまとめ・分析などを行います。

記事投稿時点で、デンバー大学・カンザス大学・オクラホマ大学・ピッツバーグ大学・ペンシルベニア州立大学・ワイオミング大学がプロジェクトへの参加を表明しています。Ithaka S+Rは、さらに3から5機関をプロジェクトに加えて調査を開始したいとしており、プロジェクトへの参加に関心のある機関は2020年3月24日までにメールで連絡するように呼び掛けています。

Project Announcement: Cancelling the Big Deal(Ithaka S+R,2020/3/4)
https://sr.ithaka.org/blog/project-announcement-cancelling-the-big-deal/

参考:
ビッグディール契約中止の経緯と対応、中止の影響:フロリダ州立大学の場合(記事紹介)
Posted 2020年2月26日
https://current.ndl.go.jp/node/40325

Elsevier社、独・プロジェクトDEALの同社との購読契約中止に伴うドイツ研究コミュニティへの影響に関する委託調査の結果を公開
Posted 2019年8月28日
https://current.ndl.go.jp/node/38892

米・カリフォルニア大学、Elsevier社との契約解除による影響調査のため学内者向けに無記名アンケートを実施中
Posted 2020年1月27日
https://current.ndl.go.jp/node/40063

スウェーデン王立図書館(NLS)、BibsamコンソーシアムとElsevier社の雑誌契約解除による影響調査報告書の英訳版を公開
Posted 2020年2月12日
https://current.ndl.go.jp/node/40211